ファイバーレーザ溶接システム活用事例
万博会場「大屋根リング」の回廊、「スカイウォーク」の手すりにFLWを活用
ファイバーレーザ溶接が溶接品質の改善と2次作業の工数削減に貢献
株式会社 三重工業
①ファイバーレーザ溶接システムFLW-6000ENSISeのティーチング作業を行う小坂さん/②「大阪・関西万博」のシンボル「大屋根リング」の回廊手すりの施工現場/③従来の半自動溶接で接合した他社製品(奥)と、三重工業がファイバーレーザ溶接で接合した製品(手前)の仕上がり比較
大阪・関西万博の回廊手すりを製作
左からレーザ溶接担当の小坂元紀さん、阪井允彦社長、栗山敏彦生産管理部長
4月13日から10月13日まで大阪・夢洲を会場に開催されている「大阪・関西万博」のシンボル「大屋根リング」。「多様でありながら、ひとつ」という会場デザインの理念を表す万博会場のシンボルとなる建築物で、日本の神社仏閣などの建築に使用されてきた伝統的な貫(ぬき)接合に、現代の工法を加えて建築された木造建物である。会場の主動線として円滑な交通空間であると同時に、風雨や日差しなどを遮る快適な滞留空間として利用されている。
来場者が歩くことができる「スカイウォーク」は地上12mの高さにあるため、全長2㎞の回廊に沿って手すりが取り付けられている。回廊・階段・スロープなどを含めると、手すりの総延長は数㎞にもおよぶ。製作・施工は、大林組・清水建設・竹中工務店のゼネコン各社が3分割して受注した。
㈱三重工業は大林組の一次協力会社として、回廊(スカイウォーク)・階段・スロープなど、総延長3㎞におよぶ手すりの設計・製作・施工を請け負った。ベースや支柱、ブラケット、手すりの溶接作業にはファイバーレーザ溶接システムFLW-3000ENSISを使用した。従来の半自動溶接で接合された他社製品と比べ、溶接品質が圧倒的に優れていると評判になり、同社の溶接技術力に対する評価および関心が高まっている。
平板・パイプ兼用ファイバーレーザマシンENSIS-3015RI
HG-2204による長尺製品の曲げ加工
総延長は3㎞ ― 2,700本の支柱を溶接
「スカイウォークは幅が30mもあり、万博の開幕以来、交通空間として利用されるほか、回廊の内側には各国の展示パビリオンがあり、外側(海側)は夕暮れ時から各パビリオンや大阪港周辺の夜景が眺められることから、昼夜を問わず多くの来場者でにぎわっています」と阪井允彦社長は語る。
「私たちが製作した手すりも大活躍しているようで、やりがいのある仕事でした。溶接品質まで比較して見る来場者はいないと思いますが、これまで産業界で認知度が十分ではなかったファイバーレーザ溶接による丁寧なものづくりは感じ取っていただけると思います」。
「施工順があるので、すべての製作・施工が完了するまでに2023年から2024年にかけて、1年あまりの期間を要しました。2,700本あまりの支柱に換算すると数百本単位で、集中的にファイバーレーザ溶接システムを稼働させ、べース・支柱・ブラケット・手すりの溶接に特化しました。バラツキのない安定した品質で加工するファイバーレーザ溶接システムのすばらしさを確認できました」。
「FLW-3000ENSISを導入してから7年が経ったこともあり、今年3月末にFLW-6000ENSISeを導入しました。従来機は出力3kWでしたが、この設備投資により出力6kWに増強されました。これによって、さらに肉厚のある厚板に対応することが可能となり、活躍の場が増すことになると思います」(阪井允彦社長)。
左:耐荷重比較。ファイバーレーザ溶接は33.0トン(左)、半自動溶接は24.7トン(右)で、溶接品質が大きく改善した/右:ファイバーレーザ溶接で接合した製品例
会社情報
- 会社名
- 株式会社 三重工業
- 代表取締役社長
- 阪井 允彦
- 所在地
- 大阪府大阪市平野区加美北7-6-29
- 電話
- 06-6791-0630
- 設立
- 1961年
- 従業員数
- 45名
- 主要製品
- 建築金物、装飾金物、内外装パネル製作、手すり
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