学術振興
天田財団、「2024年度助成式典」を開催
社会課題の解決、技術革新のためには産官学の連携・協力が必要
「2024年度天田財団助成式典」には研究者・来賓・財団関係者など、152名が参加した
2024年度助成は108件・2億9,211万円
公益財団法人天田財団は11月30日、AMADA FORUM(神奈川県伊勢原市)で、2024年度の助成金採択者に助成金目録を贈呈する「2024年度助成式典」を開催。式典には塑性加工分野・レーザプロセッシング分野の助成を受けた研究者・来賓・財団関係者など、152名が参加した。
今回採択された助成は108件、助成総額2億9,211万円で、このうち「研究開発助成」は87件・2億7,590万円、「国際交流助成」は21件・1,621万円だった。これにより、1987年の財団創立から37年間の累計助成件数は2,342件、累計助成総額は42億8,018万円となった。
若手研究者の育成、研究成果の普及啓発が使命
主催者挨拶を行う天田財団・伊藤克英代表理事理事長
式典の冒頭、主催の天田財団・伊藤克英代表理事理事長は次のように挨拶した。
「ロシアのウクライナ侵攻が丸3年に近づき、中東ではイスラエルとパレスチナ紛争により世界経済は大きなダメージを受けています。日本では総選挙で自公過半数割れ、米国ではトランプ政権復活など、国内外で大きな変化が続き、先行きはいっそう不透明感が増しています。一方、科学技術の分野では、DX対応やSDGs達成、カーボンニュートラルの実現など、喫緊の技術的課題が山積しています」。
「日本は昨年、GDPでドイツに抜かれ4位に転落しました。来年はインドに抜かれ、5位に転落するという報道があります。1人あたりのGDPにいたっては、日本はG7の最下位、世界34位に沈んでいます。私は資源のない日本において、科学技術のイノベーションこそが課題を解決し、次の時代を切りひらく原動力ではないかと考えています」。
「自然科学分野における日本の地盤沈下が顕著だとの指摘もあり、大学院の博士号取得者が減少傾向にあると言われています。第一線でご活躍されている研究者の皆さまもこのような日本の研究開発環境にさまざまな課題や不安を抱えられているものと拝察いたします。特に若手研究者の育成や研究資金の確保は喫緊の課題なのではないでしょうか」。
「当財団が目指しているのは、若手研究者を育成することであり、研究成果を産業界へ普及啓発し社会実装につなげることです。この目標に向け、微力ではありますがさまざまな課題に対してわずかでも貢献するべく、助成事業を通じて、取り組んでまいります。公益事業の使命は、より多くの人々の利益に資すること。日本が持続的に発展し、これからも世界で主導的な役割を果たすためには、絶えず科学技術のイノベーションを起こすことが必要です。研究者の皆さまには助成金とともに、当財団のこのような熱い思いも受け取っていただき、研究に取り組んでいただきたい。私が常に発信してきた言葉があります。『2番じゃ駄目なんです。常に一番を目指してください』。天田財団は常に一番を目標にする研究者に助成を行いたいと思います」。
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