板金論壇

技能実習制度を廃止、新制度の創設へ

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

LINEで送る
Pocket

技能実習制度の廃止が提案される

約30年にわたり外国人の受け入れ経路となってきた技能実習制度が転機をむかえている。

出入国在留管理庁は、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成28年法律第89号)及び出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律(平成30年法律第102号)の附則に基づき、技能実習制度及び特定技能制度の検討が求められていることから、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の下、両制度の施行状況を検証し課題を洗い出した上、外国人材を適正に受け入れる方策を検討し関係閣僚会議に対して意見を述べることを目的として、令和4年11月22日、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」(以下、有識者会議)の開催が決定され、議論を重ねてきた。

4月10日に開催された第5回会議で、中間報告書の「たたき台」として「技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべきである」とする報告を取りまとめた。これによって1993年に始まった技能実習制度は終了し、生産年齢人口が急激に減少する日本の労働市場に外国人材を今後どのようにして確保し育成するのか、抜本的な見直しが求められる。

画像:技能実習制度を廃止、新制度の創設へ研修生・技能実習生の在留状況

30年続いた技能実習制度 ― 名目は人材育成による国際貢献

外国人技能実習制度は、日本で培われた技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転することによって、当該地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として、1993年に創設された制度。その内容は、外国人の技能実習生が日本において企業や個人事業主等の実習実施者と雇用関係を結び、出身国において修得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を図るというもの。

2017年には「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が施行され、監理団体は許可制、実習実施者は届出制、技能実習計画に認定制に変更となり、優良な監理団体・実習実施者に対しては技能実習3号(4年目~5年目)の受け入れや、受け入れ人数の拡充が許可された。

現在は87職種159作業が対象職種となっている。主な業種としては、建設・食品製造・繊維・機械金属・農業・漁業などがあり、2022年末で32万4,940人の技能実習生が在留している。

つづきは本誌2023年5月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

板金論壇記事一覧はこちらから