板金論壇

女性活躍社会への対応が求められる板金業界

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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「ものづくり女子」の活躍が目立つ

板金業界でも最近「ものづくり女子」の活躍が目立つようになっている。すでに事務系を含めれば全社員の3割を超える企業も多く、中には半数以上を占める企業もあり、加工現場にも女性の姿が目立つようになってきた。

中でも「溶接女子」が増えているのが最近のトレンドだ。従来の溶接現場はヒュームや火花、粉塵が飛び交い、手や顔に飛んできたスパッタや火花でやけどを負うケースもあり、「きつい・汚い・危険」の3K職場の代表のように言われていた。しかし、事業主の意識改革や社員の勉強会などから溶接環境を整え、溶接機器も技術も年々進化。クリーンな作業スペースが設置され、男性のみならず女性にも「かっこいい職種」として認められてきた。そして、今ではアルゴン溶接や半自動溶接を操る「溶接女子」が増えてきている。

YAGレーザ、ファイバーレーザのハンディ溶接機が身近になってきたことも要因にあげられる。また、溶接ロボットが普及し、製品の着脱作業を除くと、後はロボットが溶接作業をするようになり、スキルレス化が進んだことも大きい。

同様に、自動化が進むブランク工程でも女性オペレータが増えている。プログラムが外段取り化されたため加工データ作成の手間がなくなり、作業指示書のバーコードを読み込んでデータを呼び出せば、あとは材料をセットするだけでマシンが加工してくれる。

女性社員の担当業務は、依然として「製品の検査・点検作業」と「組立・調整の作業」などに集中しており、「ものづくり女子」の活躍を進めるためには、職域の拡大が重要となる。そのためには、「女性は軽作業」という思い込みを変え、従来、体力的な理由などで不向きとされていた作業でも、作業工程の見直し、ロボットや作業補助器具の導入によって重労働を回避する工夫が必要となっている。

何も対策しないと2030年に就業者数は821万人減少

少子高齢化が急速に進む中、厚生労働省の試算によると2030年の就業者数は、何も対策がされない場合、2012年(6,270万人)より821万人少ない5,449万人となる。それに対して「ものづくり女子」などが参入すると、就業者数は6,103万人と167万人の減少にとどまるという。

製造業の就業者数だけを見ると、何も対策しなければ2012年(1,032万人)から162万人減の870万人となるが、適切な対策が採られた場合は994万人となり、大きな減少を免れることができるとされている。

製造業が活力を維持するためには、自動化・ロボット化を進めたとしても就業者の絶対数の確保が必要不可欠で、生産年齢人口の減少を補うため、女性をはじめ、高齢者などの幅広い人材の活用が必要となっている。

つづきは本誌2023年1月号でご購読下さい。

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