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【特集1】 BREVIS-AJ

東京・大田区のアーバン工場がBREVIS-AJを“増設”

株式会社 町井製作所

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画像:東京・大田区のアーバン工場がBREVIS-AJを“増設”2021年5月に導入したオールラウンド小型ファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJ。スペースに限りがあるアーバン工場でありながら“増設”を実現し、ブランク工程のボトルネックが解消した

アーバン工場がBREVIS-AJを“増設”

東京・大田区で計量包装機・医療機器・通信機器・鉄道車両関連などの精密板金加工を手がける㈱町井製作所は、2021年5月、オールラウンド小型ファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJを導入した。

アーバン(都市型)工場ならではのスペースの狭さが悩みの種で、ブランク工程の加工設備は長年にわたりパンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NTの1台体制だった。1台のマシンで“試作”と“量産”という性格の異なる仕事に対応するのは難しく、ブランク工程がボトルネックになっていた。

町井勝弘社長は、新たに発表されたBREVIS-AJが4´×4´サイズのコンパクトマシンでありながら高い加工能力を備えていることに注目し、“入れ替え”ではなく“増設”を実現。LC-C1NTとBREVIS-AJの2台体制となったことでブランク工程のボトルネックはほぼ解消し、生産性は劇的に改善した。

プレスから板金に参入 ― “試作”と“量産”に対応

画像:東京・大田区のアーバン工場がBREVIS-AJを“増設”町井喜代三会長(左)と町井勝弘社長(右)

町井製作所は1970年、町井喜代三会長が金属プレス加工企業として創業した。創業当初から2次サプライヤーに徹し、最初は自動車のバックミラー、その後はコピー機やファクスといった事務機器のプレス部品を手がけてきた。

バブルが崩壊する直前の1990年頃、町井会長はプレス部品を含む量産品の海外シフトと低価格化の流れに対応し、レーザマシンLC-657ⅡとベンディングマシンRG-35を導入して板金加工に参入した。

参入当初は、従来の得意先から“試作”の仕事を受注した。それがのちに“量産”につながり、アイテムも徐々に増加。参入当初の売上構成はプレス加工が90%超、板金加工が10%未満だったが、その後30年かけて得意先と受注アイテムを増やしていった結果、今では板金加工90%超、プレス加工10%未満と逆転した。

現在、同社の得意先は約40社。計量包装機の仕事が売上全体の50%程度を占め、残りの50%は医療機器・照明関係・通信機器・鉄道車両関連・昇降機部品などと多岐にわたる。

コロナ禍の影響で、2020年5月期の売上高は前年比12%減少、2021年5月期も同10%超の減少となったが、今期に入ってからは回復基調に入った。1年以上オーダーが止まっていた輸出向けの医療機器の仕事も動き始め、今後は本格回復が期待される。

超短納期に対応するフレキシビリティーが強み ― “試作”の割り込みへの対応が課題

同社の最大の強みは、超短納期に対応するフレキシビリティー。“試作”は即日納品や翌日納品、“量産”は1~2週間での納品が求められるが、引合いを受けると不可能でない限りは決して断らず、納期を遵守する。他社で断られた仕事が最後に同社に持ち込まれるケースも多く、近隣の得意先からたしかな信頼を勝ち取っている。

ロットサイズは“試作”が1~2個、“量産”は平均100~300個で、1,000~2,000個の製品も多い。数が少なく超短納期の“試作”と、数百個・数千個単位の“量産”―対照的な2つの仕事に対応しなければならない状況がブランク工程を圧迫し、曲げなどの後工程は“ブランク待ち”になる事態が頻発していた。

「“量産”の製品を数百個、多数個取りで加工しているさなかに、超短納期の“試作”の仕事が割り込んできます。そのたびに多数個取りの加工を途中で止め、金型と材料を交換し、“試作”の加工を行ってから、金型と材料を元に戻して、加工を再スタートしなければなりません。特に金型交換がネックで、板厚の幅が広いため、どうしてもダイ交換が発生します」(町井社長)。

“試作”の割り込みへの対応が生産性を押し下げる要因となっていたが、それでも同社のLC-C1NTは、マニプレーターなどの周辺装置がないにもかかわらず稼働率70%以上をキープしていた。これは“量産”の仕事が多いことと、現場レベルの創意工夫によるもので、裏返せば、創意工夫だけでは生産性を改善できる余地がない状態だった。

画像:東京・大田区のアーバン工場がBREVIS-AJを“増設”左:BREVIS-AJは支柱がなく、フロント部・サイド部のカバーをフルオープンでき、材料の載せ降ろしが楽にできる。4´×4´仕様のマシンだが4´×8´までの材料をセットできる/右:BREVIS-AJのNC端末AMNC 3iを操作する町井俊弥さん。端材の処理にはBREVIS-AJの「i-CAS」機能をフル活用している

BREVIS-AJの登場で“更新”から“増設”へ

2011年に2代目社長に就任した町井勝弘社長は、LC-C1NTをファイバーレーザ複合マシンLC-C1AJに更新することも考えた。しかし、それで加工スピードが速くなっても1台体制は変わらず、“試作”の割り込みに都度対応しなくてはならないという課題の本質的な解消はのぞめない。

そんなタイミングでBREVIS-AJを紹介されたことで、“更新”ではなく、“増設”の選択肢が浮上してきた。

BREVIS-AJは4´×4´サイズの小型ファイバーレーザマシンで、本体寸法はL3,088×W2,389×H1,900㎜。コンパクトながら出力3kWのファイバーレーザ発振器を搭載し、鉄・ステンレス・アルミなら板厚12㎜まで、銅は6㎜まで、真鍮は8㎜まで加工できる。

BREVIS-AJを増設してブランク工程を2台体制にできれば、加工内容や状況によって2台を使い分けることで“試作”と“量産”への対応力が改善し、同社の強みであるフレキシビリティーをさらに強化できると町井社長は考えた。

  • 画像:東京・大田区のアーバン工場がBREVIS-AJを“増設”BREVIS-AJで加工した通信機器部品(SPC・板厚2.0㎜、244×239㎜)。加工時間は1個で1分25秒、12個で15分57秒
  • 画像:東京・大田区のアーバン工場がBREVIS-AJを“増設”通信機器部品(SECC・板厚1.0㎜、80×50㎜)。レーザ加工時間は150個で1時間20分。BREVIS-AJで下穴をあけ、汎用ベンダーでバーリング加工、CTSでタップ加工を行った
  • 画像:東京・大田区のアーバン工場がBREVIS-AJを“増設”エレベーターのドア枠部品(SS400・板厚6.0㎜)。レーザ切断の加工時間はLC-C1NTの約1/2に短縮した
  • 画像:東京・大田区のアーバン工場がBREVIS-AJを“増設”医療機器向け部品(真鍮・板厚2.0㎜)。BREVIS-AJを導入したことで加工が可能になった

会社情報

会社名
株式会社 町井製作所
代表取締役社長
町井 勝弘
所在地
東京都大田区東糀谷5-12-1
電話
03-3743-0952
設立
1980年(1970年創業)
従業員数
10名
主要事業
包装機械・医療機器・通信機器などの板金部品加工(試作・量産)
URL
http://www.machii-ss.co.jp/

つづきは本誌2021年9月号でご購読下さい。

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