研究室訪問

「プレス機自らが考えて動く機械学習を活用した知能化成形技術の構築」

大阪産業技術研究所 加工成形研究部 四宮 徳章 主任研究員

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画像:「プレス機自らが考えて動く機械学習を活用した知能化成形技術の構築」大阪産業技術研究所 加工成形研究部の四宮徳章主任研究員

機械学習を活用したプレス機の成形技術を構築

大阪産業技術研究所 加工成形研究部四宮徳章主任研究員は、天田財団の令和2年度「重点研究開発助成(課題研究)」に塑性加工分野で採択された。研究テーマは「プレス機自らが考えて動く機械学習を活用した知能化成形技術の構築」

四宮主任研究員は2002年に大阪市立大学大学院 工学研究科 前期博士課程(機械)を卒業。建築や環境にちかい分野の研究をしていたこともあり、大阪市都市整備局に勤務し「公共建築物の空調設備に関する計画・設計・施工管理」に関連する仕事を担当した。しかし、次第にみずからの手で何かをつくったり発見したりしたいとの思いが強くなり、2005年に大阪市立大学大学院 工学研究科 後期博士課程(機械)に再入学した。後期博士課程では「蒸気圧縮式ヒートポンプの熱工学的特性評価」を研究、2009年3月に博士(工学)を取得した。そして同年4月、現在も在籍している大阪産業技術研究所に塑性加工分野の研究員として入所した。

塑性加工を中心とした幅広いジャンルを研究

四宮主任研究員は大阪産業技術研究所(以下、研究所)に入所後、大阪府内のさまざまな企業から技術相談や委託研究を受ける中で「ニューラルネットワークを利用したサーボプレスのモーション設定の高度化」や、「塑性発熱を利用した自己昇温プレス成形法の開発」、「超音波を用いた金型内部の温度計測技術の開発」、「高アスペクト比ステンレス薄肉缶、トランスファ高速・高効率温間絞り工法の開発」などを研究した。民間企業との連携が多いことから産業界で課題となっている研究テーマも多い。

今回の研究は、四宮主任研究員がこれまでの研究をとおして得た技術や知見を活用したものとなっている。

「研究所は企業からさまざまな技術課題をいただいて研究をします。そのため、ひとつの分野だけに特化した知識を持っていたとしても、ごく一部の企業への支援しかできません。幅広い技術を身に付けることで技術支援の幅を広げ、さまざまな技術の融合でより深く、新しい技術を切り開いていきたい」。

「公設試験研究機関のマンパワーは大学に比べて弱いかもしれませんが、みずから手を動かすからこそ、細かな変化にも気が付けるという利点があります。また、ほかの分野の専門家とタッグを組んで研究しやすいこと、所有していない装置をほかの研究室から借りやすいことなど、風通しの良さも研究所のアドバンテージです。今回の研究でも機械学習の部分でほかの分野の研究員にもメンバーとして参加してもらっています。研究所には本当に幅広い分野のエキスパートがいるのでみんなでタッグを組めばさらに幅広い研究ができるのではと期待しています」(四宮主任研究員)。

つづきは本誌2021年9月号でご購読下さい。

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