蓄積された技術力とチームワークで少人数ながら「超短納期対応」を実現
都内で創業し80年、都市型工場の得意先拡大に向けた取り組み
株式会社 鈴木製作所
都内に工場を構えて80年。スペースは限られるものの整理整頓と動線を意識した設備配置により作業のムダを減らすことを心がけている
チャレンジ精神と技術力、チームワークに強み
鈴木孝昌社長(左)と、鈴木邦司会長(右)
「当社はチャレンジする会社です。製作が困難な製品でもまずはつくってみる。社内で新しい加工方法について提案があれば試してみる。現状の設備で加工できない製品も設備の改良や治具の製作、設計の変更で対応できるか考える。失敗してもそれが次回に活かせるのだからかまわない ― というポリシーのもと、挑戦を続けてきました。私たちは板金加工を通じて社会に貢献し、みんなが笑顔で暮らせる世界を目標に、ものづくりに取り組んでいます」と笑顔で語るのは㈱鈴木製作所の3代目、鈴木孝昌社長だ。
チャレンジ精神が反映されているのが、自社の技術力をアピールするために10年ほど前から取り組んでいる、図面が届いてから48時間以内(一部地域は除く)に加工から納品まで行う超短期対応の「板急便」だ。鉄やステンレス、アルミのほか、ボンデ鋼板などの表面処理材のロット1~100個の注文に対応する。現場作業者6名と極少人数にもかかわらず、そのような超短納期に対応できるのは各作業者の持つ技術力はもちろん、作業者同士が互いをサポートし合う「チームワーク」によるところが大きいと鈴木社長は説明する。
経営理念に残された社会貢献の思い
同社は終戦直後の1945年9月、戦争から復員した鈴木社長の祖父・鈴木正雄氏が戦闘機の製造で培った技術を人々の生活を豊かにするために使いたいと東京都内で創業した。経営理念「私たちは会社の仲間とお客様、地域社会、その他当社に関わる全ての人たちを幸せにします」「人の和と板金技術の融合をもって成長します」「想像力を創造力に変えカタチにします」にはそんな創業者の思いが込められている。
材料が乏しい中、廃材などを使って玩具など小物を製作・販売。空気銃の弾や鞄の持ち手の製造により事業が軌道に乗りはじめると、金属加工に業態をしぼった。1961年にプレス機を導入するとその勢いが加速、近隣の会社から教育什器関係などを受注するようになった。
1968年には顧客から依頼を受け、無電源の自動販売機を開発・販売すると、ホテルやデパートなど多様な場所に設置された。また、スポーツ用ソリなど自社商品の開発製造により業績は大きく伸びた。しかし、1977年の銃刀法規制強化により主力だった空気銃の弾の売上が激減。2代目の鈴木邦司氏(現会長)は会社の立て直しのため、新たな加工設備を導入し、プレス加工から板金加工主体へと舵を切った。そして、パチンコ台やシャッター、現在まで取引が続く鉄道車両の補修部品など板金加工の仕事を受注していった。
2004年には新潟県中越地震の際に自動販売機の転倒で被害があったことを知り、安価で安全性の高い転倒防止板や耐震設備部品を開発製作して社会への貢献を目指した。
左:レーザマシンFO-MⅡ 2412NT/右:パンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NT。ブランク・曲げ工程の主要設備付近の天井に電動マニプレーターを設置し、作業者の負荷を軽減した
新規顧客獲得のための3つの取り組み
2011年には鈴木孝昌氏が3代目社長に就任。当時の同社では大量生産品がより安価な東南アジアに転注されたことや廃業・倒産する企業の増加により顧客数が減少、業績悪化が続いていた。早急に得意先を増やす必要性を感じた鈴木社長は次のような取り組みを行っていった。
1つ目は「過去の顧客との関係再構築」。同社は困った時の駆け込み寺的な存在として長く親しまれており、手が回らないときや加工が難しい製品などにスポット的に依頼される仕事が多かった。鈴木社長は過去に取引がある企業に声をかけ、継続取引に向けた関係性の再構築をはかった。
2つ目は「新規設備の導入による加工能力の強化」。2013年にパンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NT、2017年にベンディングマシンHG-2203、2019年にレーザマシンFO-MⅡ 2412NT、2023年に溶接ロボットと積極的に設備を増強していった。また、鉄道車両関係を中心にアルミの需要が増加したことを受け、アルミ溶接の国家資格を取得した。
3つ目は「新規顧客獲得のためのブランディング強化」。会社の知名度を上げるためには、まず自社の技術力の高さを公的機関から認定してもらおうと、2014年には足立区内産業の優れた製品・技術を全国にPRすることを目的とした「足立ブランド」認定を取得した。さらに、製品に付加価値を加えるための取り組みとして、同社の技術力やチームワーク、交通の便が良い立地を生かした超短納期対応の「板急便」を開始した。
ベンディングマシンHG-2203(手前)、HDS-8025NT(奥)が並ぶ曲げ工程
「10年ほど前から、製品単価の適正化による給与水準の向上や溶接ロボット(写真)などを活用した省力化に取り組んできました」(鈴木社長)という
会社情報
- 会社名
- 株式会社 鈴木製作所
- 代表取締役会長
- 鈴木 邦司
- 代表取締役社長
- 鈴木 孝昌
- 所在地
- 東京都足立区青井3-32-18
- 電話
- 03-3887-5183
- 設立
- 1962年(1945年創業)
- 従業員数
- 8名(役員含む)
- 主要事業
- 重機・シャッター部品・コンベア・ダクト・鉄道車両部品・学校向け機材(椅子、机など)部品などの製作、その他金属加工
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