生産自動化への取り組みで事業好調な板金企業
ビジネスモデルの変化に対応することで、事業のさらなる発展をはかる
技術の高みへ向かってどこまでも飛翔し続けたい
株式会社 穴沢製作所
ファイバーレーザ溶接システムFLW-Le。小型ロボットの採用により省スペース化を実現。小型ヘッドで狭いところの加工も可能となり加工範囲が拡大した(左:ティーチング作業中のFLW-3000Le)
貨幣鑑別処理用の機構部品の加工からスタート
穴沢一社長
㈱穴沢製作所は板金工場の工場長だった穴沢進会長が1973年に独立し、東京都大田区で個人創業。畳5畳分の工場で、両替機やアミューズメントマシンの貨幣鑑別処理を行う機構部品などの加工からスタートした。
1977年に㈲穴沢製作所を設立。1987年にはコインロッカーなどの大型製品の溶接・組立に対応するため、埼玉工場を開設した。1988年には宅地開発の影響で、大田区の本社工場を横浜市港北区新羽町に移設した。2017年には代表取締役社長に穴沢一氏、取締役会長に穴沢進氏が就任。2023年には株式改組するとともに、本社工場が手狭になったことから横浜市都筑区の屋上に駐車場を備えた自動車整備工場だった3階建て建物を取得し、移転した。
試作・多品種少量生産から量産までに対応
コインロッカーの仕事は95%がリピート品で、ロットサイズは10~100個。成形加工やバーリング・タップも多い。そのため埼玉工場では棚付き・PDC(金型自動交換装置)付きのEMZ-3510NTP+ASR-48Mが昼夜を問わず、自動運転でブランク加工を行っている。埼玉工場の社員は生産スケジュールに従って抜き、曲げ、溶接・組立をこなしている。
本社工場では手のひらサイズから肩幅サイズの板厚2.3㎜以下の精密板金加工が主体。主に半導体検査装置、アミューズメントマシン、パーキングの自動精算機・発券機、住宅設備機器、医療機器、AV機器などの部品加工を手がけ、試作・多品種少量生産から量産までに対応している。
神奈川県横浜市にある㈱穴沢製作所の本社工場
パンチングマシンEM-255MⅡe(手前)とタッピングマシンCTS-900NT(奥)が並ぶ
半導体検査装置の仕事が30%を占める
現在の得意先は100社を超えるが、定期的な継続取引をしているのは約40社。売上順では半導体検査装置が30%と大きく、次いでパーキングの自動精算機・発券機関係、宅配ロッカー・住宅設備機器関連、アミューズメントマシンなど5社ほどで40~50%を占めている。
半導体検査装置は半導体市況が低迷していた時期も含め、ここ3年ほどは右肩上がりで推移した。コロナ禍には20%ほど受注が落ち込んだこともあったが、一時的なもので、すぐに回復。2021~2023年度は増収となった。2023年4月期には売上が17年ぶり2度目の5億円を突破した。
左:ベンディングマシンHDS-8025NT(左)、EG-6013(右)が並ぶ曲げ工程と、曲げ加工済みの製品(手前)/右:パーキングの自動精算機・発券機部品は電子部品の組み付けまで手がける
会社情報
- 会社名
- 株式会社 穴沢製作所
- 代表取締役
- 穴沢 一
- 本社工場
- 神奈川県横浜市都筑区川向町1324-1
- 埼玉工場
- 埼玉県大里郡寄居町大字赤浜字赤木2591-1
- 電話
- 045-577-4616(本社)
- 設立
- 1977年
- 従業員数
- 21名
- 主要事業
- 精密板金・ASSY組立、機械加工、処理加工、配線組立、電子部品実装組立
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