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経営者はマエストロ ― アンサンブルを創造する

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先日、HIMARIさんが、NHK交響楽団と共演するコンサートに行ってきました。3歳でヴァイオリンを始め、6歳でプロオーケストラと共演するなど圧倒的な才能で世界中から注目を集めているHIMARIさんの演奏が聴けるというので、楽しみにしていました。しかし、共演したヴァイオリン協奏曲はN響との音のアンサンブルが今一つで残念でした。

もちろん当日はNHK交響楽団の定期演奏会であり、HIMARIさんも招待演奏者としての出演だったため、やむを得ない面もあったのかもしれません。しかし、会場を訪れた多くの来場者が、HIMARIさんのヴァイオリン演奏を楽しみにしていたと思うので、もう少しヴァイオリンの音にフィーチャーした演出があっても良かったのではと思いました。金管楽器の音が大きく、ヴァイオリンの音色が聴こえてきませんでした。

しかし、アンコールにソロで披露してくれたヴァイオリンが奏でる音色は心に響き、それだけで十分でした。

それにしてもオーケストラによる演奏をまとめ上げ、音楽の解釈を一つに統一するために演奏曲のテンポや強弱の指示を出し、演奏者から最高の表現を引き出す「音楽監督」であるマエストロの役割の重要性をあらためて認識しました。

マエストロは自身が選んだ作曲家と、曲目に対する自身のイメージに従って、オーケストラのメンバーや招待演奏家に対して具体的な指示を出し、イメージどおりの音楽を構築して、各パートのバランスを調整し、アンサンブルを完成させるのが役割と言われています。

そのためには楽譜に対する深い読譜力と、演奏者一人ひとりをまとめ上げる強いリーダーシップが必要だといわれています。そのため、コンサート本番はタクトを振る腕だけでなく、アイコンタクトなど身体全体をとおして演奏者の心を引きつけ、最高の表現を引き出す能力が求められます。演奏者が安心して音楽に集中でき、かつ一体感のある演奏を生み出すことにより奏でる音色にアンサンブルが生まれ、聴衆に感動を与えることができます。マエストロ次第で聴衆の評価が変わることになります。

これは企業経営にもつながることで、経営者のタクトの振り方一つで企業から生まれる価値や評価が変わることになります。各部門の特性を理解して個々の能力を引き出し、全体の調和をはかる手腕はマエストロに通じます。社員一人ひとりを演奏者にたとえれば弦楽器、金管楽器、木管楽器、打楽器が仕事を通じてハーモニーを奏でないと良いアンサンブルは生まれてきません。そのために経営者は、演奏者である社員一人ひとりの体調や特徴を把握して、最高のアンサンブルを発揮するチームをつくり上げる必要があります。

マエストロは作曲家の意図を読み解き、自分なりの音楽的ビジョンを明確に持つことが必要だと言われます。どのような音色や表現を求めているかをイメージし、それをタクトや手の動きで演奏者に正確に伝える力が求められます。

経営者も世の中の潮目の変化を読み取って、明確な経営理念とビジョンを持って、社員が最高のアウトプットを出せる環境をつくることが求められます。そのためにはみずからがすべての業務に手を出して現場の仕事を奪うのではなく、社員たちを信頼して最高のパフォーマンスを発揮させるために、全体の調和とリズムを生み出すことが求められます。

コンサートをとおして、いろいろなことを学びました。

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