ウェルビーイング ― 自身の幸福度を確認してみよう
数年前から日本でもウェルビーイング(Well-being)に対する関心が高まりを見せている。ウェルビーイングとは身体的、精神的、そして社会的に満たされた「心身の健康と幸福」を示す概念。健康状態にとどまらず人生に対する満足度や生きがい、他人との良好な関係など、持続的な幸せを含めた広い意味で使われている。
英国・オックスフォード大学ウェルビーイング研究センターなどが毎年「World Happiness Report」(世界幸福度報告書)を公表している。3月に公表された2026年版レポートによると国別の幸福度ランキングで、日本は147カ国中61位と前年(147カ国中55位)から順位を下げた。主要7カ国(G7)では最下位で、上位国との差も大きい。
この報告書は2012年以降、2014年を除いて毎年発表されている。調査は各国の約1,000人に「最近の自分の生活にどれくらい満足しているか」を尋ね、0(最悪)から10(最高)の11段階で答えてもらう方式で、国ごとの幸福度を測定している。過去3年間の平均でランク付けしており、2026年版は2023~2025年の3年間の平均で算出されている。
ウェルビーイングの重要な変動要因として、「1.人生の自由度:自分の人生を自分で選択できているか(自己決定)」「2.社会的な支え:困った時に助けてくれる人がいるか」「3.一人あたりGDP:経済的な豊かさ」「4.寛容さ:他者への思いやりや寄付の精神があるか」「5.腐敗の少なさ:ビジネスや政治において不正が少ないと感じるか」「6.健康寿命:心身ともに健康でいられる期間」―の6項目を用いて分析している。この6項目の変数を使えば、国や年による幸福度のちがいの4分の3以上を説明できるという。
今回の日本の幸福度スコアは6.130。前年の6.147からわずかに低下し、順位も6ランク下がった。日本の健康寿命は長年一貫して世界トップクラスを誇るのに対し、幸福度は全体として国際ランキングは下降傾向にある。G7ではドイツが17位、米国が23位、カナダが25位、英国が29位、フランスが35位、イタリアが38位となっている。周辺国では、中国が65位、韓国が67位だった。
このレポートを知り、あらためて自分にとっての幸福度について考えさせられた。ウェルビーイングを企業が目指すことの重要性や必要性を経営者が語ったとしても、社員一人ひとりの幸福度までに考えがおよんでいるのかという懸念が残る。かたちだけのウェルビーイングでは意味がない。
先日のNHKラジオ深夜便に幸福学の第一人者である武蔵野大学ウェルビーイング学部・前野隆司学部長が出演された。幸福学研究では持続的な幸せは「健康」「安全」「良好な心の状態」から生まれると定義され、その要因として以下の4つの因子があることを紹介された。
①「やってみよう!」因子(自己実現と成長)
…夢や目標を持ち、成長しようとする姿勢。
②「ありがとう!」因子(つながりと感謝)
…他者との良好な関係性、感謝の心。
③「なんとかなる!」因子(前向きと楽観)
…ポジティブな姿勢、失敗を恐れない心。
④「ありのままに!」因子(独立と自分らしさ)
…自分軸を持ち、自分らしく生きる姿勢。
ラジオの中で前野学部長は「この4つの因子を高めることで、個人のウェルビーイングが向上すると考えられます」とおっしゃっており、私も自身の幸福度について考えてみました。機会があれば読者の皆さんも自身の幸福度において、どの因子が欠けているのか確認してみてください。


