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産官学連携

天田財団、「2025年度助成式典」を開催

今後も研究者への支援や産学連携の場の提供に注力していく姿勢を示す

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画像:天田財団、「2025年度助成式典」を開催11月29日に開催された「2025年度天田財団助成式典」には研究者・来賓・財団関係者など167名が参加した

助成114件・2億8,322万円の採択が決定

公益財団法人天田財団は11月29日、AMADA FORUM(神奈川県伊勢原市)で、2025年度の助成金採択者に助成金目録を贈呈する「2025年度天田財団助成式典」を開催した。式典には塑性加工分野・レーザプロセッシング分野の助成を受けた研究者、来賓など、167名が参加した。

今回採択された助成は114件・2億8,322万円で、このうち「研究開発助成」は85件・2億6,221万円、「国際交流助成」は29件・2,100万円となった。これにより財団設立から38年間の助成の累計は2,473件・45億7,578万円となる。

ともに「人を育て、知を拓き、未来を創る」

画像:天田財団、「2025年度助成式典」を開催主催者挨拶を行う天田財団の磯部任代表理事理事長

冒頭に主催者として、天田財団の磯部任代表理事理事長(アマダ代表取締役会長)が次のように挨拶した。

「日本の研究環境は大きな転換期をむかえています。技術の急速な進展と国際競争の激化に対し、研究現場は複合的な課題に直面しています。たとえば競争的資金の獲得が難しく、若手研究者が中長期的に挑戦できる環境を確保しにくくなっています。短期的成果を重視する風潮は、基礎研究や将来につながる探索的な研究を敬遠することにもなりかねません。工学系や応用研究は論文数などの定量指標で評価されにくく、社会実装に時間と人材を要するため、短期的手法に反映されにくいという構造的な問題もあります。日本では博士取得後のキャリアが不安定なため、人材流出や技術シーズの減少にもつながっています。研究室のシーズと現場ニーズをつなぐ機能が弱く、社会実装の障害となっています」。

「天田財団ではこうした課題に対し、次の3点に注力して支援活動を行っています。1つ目は『安定的な研究環境の提供』 ― 若手研究者が自由な発想を試し、知見を深める期間を確保することが重要だと考え、助成に『若手研究者枠』を設定しています。2つ目は『実装思考の評価』 ― 研究論文としての価値だけでなく、社会実装の可能性や企業ニーズとの整合性、技能継承の観点も評価に組み込んでいます。3つ目は『産学連携の場の提供』―産業と研究をつなぐ場として、助成研究成果発表会を毎年開催しており、研究室のシーズを天田財団ニュースとして産業界へ発信しています」。

「今回助成を受けられた皆さまに、お願いしたい点が3つございます。1つ目は『長期的な視点を持って、研究に取り組んでください』 ― 短期指標だけでなく、継続的な研究課題を設定して、深い成果を目指していただきたい。2つ目は『常に現場と対話してください』―製造現場のニーズに耳を傾け、技術の実装を意識した研究設計を行っていただきたい。3つ目は『後進の育成に努めてください』 ― 研究室内の技能や知見を次の世代へつないでいただきたい。天田財団は皆さまの挑戦を全力で支援していきたいと考えています。ともに人を育て、知を拓き、未来を創りましょう」。

つづきは本誌2026年1月号でご購読下さい。

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