軟質材料を工具として金属表面に凹凸を転写する技術の研究
名城大学 理工学部 機械工学科設計・生産分野 吉川 泰晴 准教授
名城大学・吉川泰晴准教授
金属への凹凸転写加工の新しい技術
名城大学 理工学部 機械工学科設計・生産分野の吉川泰晴准教授の研究テーマ「印刷工具を用いたトレーサビリティ向け凹凸刻印・発色技術の開発」が、天田財団の2024年度「重点研究開発助成」に塑性加工分野で採択された。
現状の金属への凹凸転写加工は、一般に貨幣製造のように凹凸を有する被加工材よりも硬い金型を金属円板に押し付け、金型の凹凸が反転したパターンを金属円板に転写し製造している。吉川准教授の発想は、これとは逆に軟質な材料を工具として使用する。軟質材料の表面に設けられた凹凸を金属板に転写する独自技術により、高精細で高精度、安価で早急に大量の同一品質の製品を製造できる技術の研究を行っている。
本研究は紙や樹脂フィルムなどの軟質材料を工具とし、金属表面に凹凸を転写する技術の基礎・応用研究である。より高精細で高精度な転写が行えるようにするため、軟質材料を工具として用いた際のトライボロジーの役割や、加工条件に関して、転写過程を詳細に分析し、転写機構を明らかにすることを目標にしている。
プラズマによる窒化処理の研究で学位取得
吉川准教授は2000年に名城大学 理工学部に入学した後、2004年4月に同大学大学院 理工学研究科に進学、2009年には「電子ビーム励起プラズマ環境および窒素スピーシーズによる金属窒化処理法の開発」の研究で博士号を取得した。2009年4月にはポスドク研究員として、豊田工業大学でプラズマ窒化の研究を行った。同年11月に岐阜大学 工学部の助教に任官、トライボロジーと塑性加工を中心とした生産加工分野の研究を約8年間にわたり行った。2017年に名城大学 理工学部の助教、2020年には現職である同准教授に就任した。
吉川研究室では、紙や樹脂フィルムを工具として金属表面に凹凸を転写する技術の基礎・応用研究や、板鍛造の工程設計および板鍛造工程中の諸問題の解決、塑性加工におけるトライボロジーに関する研究、精密金型や治具に関する研究などに取り組んでいる。
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