第35回 優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介（その1）
航空機用エンジンに使われていた「星型エンジン」の動きを再現
「星型エンジン」が「日刊工業新聞社賞」を受賞
シンエイメタルテック 株式会社
「日刊工業新聞社賞」を受賞したシンエイメタルテック㈱の「星型エンジン」（SUS304・板厚1.0㎜、1.5㎜、3.0㎜、6.0㎜）
航空機用エンジンに使われていた「星型エンジン」の動きを板金で再現
左からプログラム担当の小副川徳係長、溶接担当の大塚隆弘係長、田原和幸社長、曲げ担当の三浦眞志係長
「第35回優秀板金製品技能フェア」（以下、板金フェア）の「組立品の部」に出品したシンエイメタルテック㈱の「星型エンジン」が「日刊工業新聞社賞」を受賞した。同賞は「技術水準・独創性がきわめて高く、業界の発展に貢献すると思われる作品」に贈られる。
星型エンジンは、シリンダーを放射状に配列したレシプロエンジンの一種で、航空機用のエンジンとして多く使われていた。クランクシャフトを中心にしてシリンダーが放射状に並んでいることから「放射状エンジン」とも呼ばれ、形状が星に似ていることから「星型エンジン」と呼ばれるようになった。
本来の星型エンジンは何百点という部品で構成され、そのほとんどが機械加工で製作されている。同社の作品はそれらを板金で製作しており、遊星歯車（ギア）も板金でつくられている。背面にハンドルがあり、それを回すとクランクシャフトが回転し、コンロッドによってシリンダー内のピストンが順次、上下に動く。航空機の星型エンジンの動きを板金加工で再現した技術力と、スムーズに動作する加工精度の高さが評価された。
「星型エンジン」の3次元モデル
ランクシャフトが回転し、コンロッドによってシリンダー内のピストンが上下動する
2度の「経済産業大臣賞」など多数の受賞実績
同社は第20回（2007年度）以降ほぼ毎年、板金フェアに参加してきた。第27回（2014年度）の「ボルト、ナットM200」と第30回（2017年度）の「ウォームギア」が「経済産業大臣賞」を受賞したのをはじめ、「中央職業能力開発協会会長賞」「審査委員会特別賞」「アマダ賞」など数々の受賞実績がある。
田原和幸社長は「板金フェアに参加するようになったのは、曲げ加工をベテラン社員が、企画・展開・溶接などを若手社員が担当することで、ベテランの技能と若手の発想力・思考力をうまく融合させ、技能伝承に生かしたいと考えたからです」。
「経済産業大臣賞を2度受賞する栄誉に浴しましたが、大切なのは続けることです。1回限りではなく、続けて良い製品を生み出せるように取り組んでいかなければ成長・発展は見込めません。社員は作品募集が始まる5月よりも前から次回の構想を持っているようで、受賞の自信が意欲の向上にもつながっていると感じます」と語る。
三浦係長が曲げ加工した海苔製造機械の制御盤筐体
TIG溶接作業を行う大塚係長。作品製作ではひずみをおさえた溶接や細かな研磨作業に奮闘した
会社情報
- 会社名
- シンエイメタルテック 株式会社
- 代表取締役
- 田原 和幸
- 所在地
- 佐賀県神埼市千代田町崎村551
- 電話
- 0952-44-2150
- 設立
- 1971年
- 従業員数
- 55名
- 主要事業
- 半導体製造装置、建設機械、海苔養殖関連の板金および製缶、一般産業用機械装置の板金および製缶、レーザ加工
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