板金論壇

ポジティブ・マインドのすすめ/日本をキャッチアップしてきた台湾板金業界に学ぶ

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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日本が目指すべき彼岸の姿を台湾に見た

今月号の第2特集である「台湾特集」の冒頭にも書きましたが、台湾板金業界の隆盛には驚かされます。日本の板金業界が目指すべき彼岸の姿を見た気がしました。この3年間、毎年2回ずつ訪台し、これまでに25社の板金企業を訪問しました。当然、業績が好調で事業が発展・拡大している企業を中心に伺っているので、そうした企業が台湾板金業界全体の実力を象徴している、というわけにはいかないとは思いますが、遠からず台湾の板金業界が急速に日本を追いかけてくることは間違いありません。

ファイバーレーザ複合マシンも目立つ

筆者は、これまで欧米はもとより中国・インドを含むアジア・ASEAN各国の板金業界を歩きましたが、パンチ・レーザ複合マシンがこれほど活躍しているのは、日本を除くと台湾以外にありません。複合マシンは工程統合マシンであり、ワンクランプで抜き・成形・タップ・外周切断をこなすことができ、高精度加工ができます。しかも、最近の複合マシンには製品とスケルトンを仕分け、製品を機外へ搬出するTK(テイクアウトローダー)やシューターが装備されているので、外周加工が終了すると製品はシートから切り離されると同時に、仕分けされます。その結果、これまではネスティング加工を行っても、加工後の製品のバラシ・仕分け作業が大変で、そのために専任の作業者を配置しなければならない場合もありました。

かつては朝、出社してきた社員が総出でバラシ作業に取りかかる光景をよく見たものです。また、レーザ加工とパンチング加工という両方の加工機能を備えているため、レーザ加工中にはパンチング加工が、パンチング加工中はレーザ加工ができない、という生産性の課題もありました。だからこそ生産ロットが中量以上の海外では、工程統合を考えるよりも、工程を分割し、パンチングマシン、レーザマシンの加工スピードを速くすることが、プライオリティーの一番でした。

しかし、ロットサイズが小さくなり、多品種少量生産が増え、加工精度も厳しさを増してくると、それぞれの機能を備えたマシンを渡り加工していたのでは段取りが増え、材料のつかみ換えで逆に精度が上がらないといった課題が顕在化してきました。さらに、人手不足となって、工程統合による複合加工に注目が集まってきました。

つづきは本誌2016年3月号でご購読下さい。

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