大臣賞2賞を九州が独占―第27回優秀板金製品技能フェア
厚生労働大臣賞をはじめ3賞同時受賞で“技術のナダヨシ”が定着
地域の元気印―灘吉丸は本日も海路晴朗なり
株式会社 ナダヨシ
長崎からの航路
㈱ナダヨシの植木次義社長は地元に就職先がなかったため、16歳で故郷の長崎にて職業訓練校に入り、金属加工の基礎を学んだ。卒業時、当時の教官は「君は誰かの下で仕事をするパーソナリティーではない。一国一城の主を目指せ」「鉄はどこの鉄工所でも加工できる。君はこの先の時代にきっと要求されるようになるステンレス、アルミ、チタンなどに特化した仕事をするのがいい」と示唆され、挫折や逡巡を繰り返しながらもモノづくりに活路を見出した。
福岡の厨房設備メーカーで修業をし、1981年に34歳で独立した。「社名は何にしょうか」―一番楽しみな課題に、躊躇なく有明海で活躍し、自分を育てた父の砂利運搬船の名前「灘吉丸」からとって命名した。
独立した当時は灘吉厨房設備㈲として厨房機器を製作、10年後の1991年には時代に対応した新しいイメージのカタカナ社名「有限会社ナダヨシ」に変更した。2003年に株式改組、2005年には福岡工業大学などとの産学連携に参加し、新しいモノづくりや製品開発などに参画していく。
2005年度から10年連続して職業訓練法人アマダスクールが開催する優秀板金製品技能フェアに応募。金賞や銀賞、中央職業能力開発協会会長賞などを受賞した。今年3月に表彰式が執り行われた第27回の同フェアでは、4部門に応募し、それぞれ厚生労働大臣賞、銀賞、銅賞、技能奨励賞を受賞した。
植木社長を補佐し、社員たちと同フェア参加を盛り上げた今年44歳になる植木剛彦専務は、大学卒業後9年ほど他社で経験を積み、同社に入社。設計・プログラムを主体に社業発展に取り組んできた。
長崎出身の若い社員を寮に預かり、食事の世話から健康管理、相談事にも乗って来たのが社長夫人。我が子と同様に分け隔てなく社会人として育てた経緯もあり、剛彦専務にとって社員たちとは兄や弟のような関係が続いている。
今年は「厚生労働大臣賞」を受賞、連続の受賞で活気立つ
同社を前回訪れたのは2010年。第22回(2009年度)の同フェアで、「溶接を主体とする組立品の部」にオールステンレスの「宝箱」を出品し、3月に開催された表彰式で金賞と「中央職業能力開発協会会長賞」をダブル受賞した年だった。同社は2005年度の第18回から10回連続で同フェアに応募することで、社員の技術・技能の研鑽と、その成果を業界に認知してもらうための努力を積み重ねていた。その時も植木社長からは、同フェアにかける強い意気込みを聞かせていただいた。
次に訪れたのは2013年3月。第25回(2012年度)の同フェアで、同社が「高度溶接品の部」に応募した、実物の1/3サイズで製作した「幼稚園用手洗いシンク(1/3ミニチュア)」が金賞を受賞したときだった。同社をはじめとする九州の板金企業が、同フェア最高の栄誉である厚生労働大臣賞をはじめとする主要な賞を総なめしたことによって、一躍九州の板金加工技術力の高さが賞賛された年でもあった。
この年の受賞で社内は活気づき、工場の壁には「2014年度 第27回優秀板金製品技能フェアで厚生労働大臣賞を取るぞー! 授賞式全員で行くぞー!」の大きな看板が掲げられた。
会社概要
- 会社名
- 株式会社 ナダヨシ
- 代表取締役
- 植木 次義
- 住所
- 福岡県古賀市青柳194
- 電話
- 092-944-4755
- 設立
- 1981年
- 従業員
- 20名
- 業務内容
- 特殊自動車部品、建築金物厨房機器、調理装置、医療機器部品、装飾品金物など
つづきは本誌2015年5月号でご購読下さい。
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