板金論壇

円安がもたらす経済効果と、日本の産業界が目指す方向性

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

LINEで送る
Pocket

円安倒産が増加

帝国データバンクが4月、円安関連倒産の集計を発表した。この中で3月の円安倒産が、集計開始以来、最高水準になったことが明らかになった。3月に入って円相場は1ドル120円台前半をつけるなど、依然として120円前後の円安水準が続いている。今年に入り、急速な円安進行には一定の歯止めがかかっているが、各種食料品や繊維・アパレル関係を中心に影響はじわじわと広がっている。2月は負債10億円超の地場業者の倒産が相次ぐなど、ここにきて「円安関連倒産」の規模も徐々に大きくなってきているというニュースを耳にすることが多くなった。

3月の「円安関連倒産」は48件判明し、集計を開始した2013年1月以降では、最高水準となった。年度ベースでは、2014年度(2014年4月~ 2015年3月)の合計が401件にのぼり、前年同期(178件)に比べて125.3%の大幅増加となっている。

2014年度の集計を地域別に見ると、「関東」が東京都を中心に140件(構成比34.9%)で最も多く、以下、「近畿」(69件)、「中部」(60件)、「九州」(41件)の順となっており、首都圏での倒産率が高いことが判明した。

業種別に見ると、「卸売業」が105件(同26.2%)で最も多く、このうち、繊維・衣服・繊維製品卸売(39件)と飲食料品卸売(24件)が6割を占める。「製造業」が91件(同22.7%)で続いた。他方、原油価格の下落を受け「運輸業」の前年度比増加率が唯一20%台にとどまった。

負債規模別に見ると、「10億円以上50億円未満」が46件(同11.5%)。前年度を25件(119.0%増)上回り、負債10億~20億円台の地場業界大手クラスの倒産がでている。ここにきて増加が目立つのが、仕入れの多くを輸入に頼る食品や繊維・アパレル業者。これらの業界は従来から同業者間での厳しい競争にさらされ、収益の厳しい状況が続いていた。そうした中で、円安による輸入仕入れコストの上昇がさらなる収益悪化を招き、体力が限界に達した企業から順に倒産に追い込まれている、とレポートでは紹介されている。

つづきは本誌2015年5月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

タグ

  • タグはまだ登録されていません。

関連記事

  • 関連記事はありません。

板金論壇記事一覧はこちらから