特集

ランニングコストを大幅削減するファイバーレーザ

勉強会で各社のファイバーレーザを精査、最適のマシンに仕立てる

「既納入ユーザーの生の声を聞くことが大切」

有限会社 伊藤精工所

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画像:勉強会で各社のファイバーレーザを精査、最適のマシンに仕立てる2014年3月に導入したファイバーレーザマシンFLC-3015AJ+LST-3015F1。FLC導入から3カ月後にはマニプレーターMPL-3015Sも装備。FLCによるレーザ加工後のシートがドンドン積載されていく

“Beam on”を標榜する愛媛の板金サプライヤー

1973年に現社長の父親が自宅にて農機具部品の穴あけの仕事を始め、1979年に現住所に㈲伊藤精工所として法人化した。1980年代には立体駐車場の部品加工を始めたほか半導体製造装置や各種産業機械の板金製作なども受注するようになった。1998年に長男の伊藤公一氏が社長に就任、最新鋭マシンの導入と、たとえ百円の仕事でも断らない方針、短納期対応により業績を伸ばしている。

前回同社を取材したのは4年前の2011年5月。工程統合マシンLC-2012C1NTを導入し、近在の同業者を集めてオープンハウスを開催した様子を取材させていただいた。その際、伊藤公一社長は近未来の夢として「次はファイバーレーザマシン」と語っていた。

そして4年が経過した2014年3月、ファイバーレーザマシンFLC-3015AJをシャトルテーブル(LST-3015F1)と、マニプレーター(MPL-3015S)付きで導入した(マニプレーター
は3カ月後の導入)。その狙いと経緯、実際に運用してみた感触と効果、ウィークポイントを忌憚なく話していただいた。

「取材を受けた翌年の2012年2月にアマダと三菱電機から専門家を迎え、地元・新居浜と松山の板金事業者約20名でファイバーレーザの私的な勉強会を開催しました。両社ともに質疑には実に丁寧に対応していただき、懐の深さに感激しました。参加者はみな、次世代の技術であるファイバーレーザマシンに強く興味を持ちました」と伊藤社長は当時を振り返って話し始める。

伊藤精工所は「工都・新居浜『ものづくり拠点』の技能集団」を謳う新居浜機械産業協同組合に所属し、組合単位や有志での勉強会、工場見学会などを積極的に計画・推進している。

画像:勉強会で各社のファイバーレーザを精査、最適のマシンに仕立てる伊藤公一社長(左)と、東野耕作取締役工場長(右)

薄板の量産品が来る

「2013年の夏、県外のメーカー2社から相次いで薄板の量産品の打診があり、既存のCO2レーザマシン3台で対応しました。それまでは単品加工しか経験がなく、何とか対応しましたが、お客さまからは『これからも継続して取引したい。次も頼む』と嬉しいオファーがありました。地場の仕事も減少傾向にあり、リーマンショック前の売上に戻すためにも『ぜひ、この仕事を受けたい』と強く思いました」。

「ただ、このうちの1社の仕事は農業機械関連で、収穫機の秋に的を絞った季節商品のため、上半期が勝負。今年分の製品を完納しないと来年の受注ができないので、何を置いても間に合わせないといけません。そこで、工程統合マシンLC-C1NTと既存のレーザマシン3台をフル回転させて対応しましたが、その一方で従来からの単品の仕事も間に合わせないといけません。また、単品と量産品ではマシンの使い方も材料供給の考え方も異なってきます。量産の途中に単品を挟み込むわけにもいきません。この降ってわいた幸運――“天使の前髪”をつかむにはレーザマシンの入れ替えしかない、と考えはじめました」。

伊藤社長の動きは素早かった。先達企業の設備を見学し、そこでは最新マシンに自動棚が付き、1日20時間以上稼働している現実に目を見張った。そこで、先の勉強会で印象に残っていたファイバーレーザマシンに絞り、板金機械メーカー数社にファイバーレーザによるステンレス・板厚1.0㎜のテスト加工と見積りを依頼した。結果、各社ともテスト品に大きなちがいはなかった。伊藤社長は右腕と信頼する東野工場長など幹部社員と議論を重ねたが、各社とも似たようなPR内容で、飛びぬけたポイントは見出だせなかった。

画像:勉強会で各社のファイバーレーザを精査、最適のマシンに仕立てる同社で製作した筺体カバー(左)、曲げ加工後の製品(右)。各工程を流れる際、製品と作業指示書は必ずセットになっている

つづきは本誌2015年4月号でご購読下さい。

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