特集

ランニングコストを大幅削減するファイバーレーザ

生産量は1.5倍、電力費は横ばい

3台のファイバーレーザマシン導入でコスト大幅削減

株式会社 樫本商店

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画像:生産量は1.5倍、電力費は横ばい2013年と2014年に導入しFOL-3015AJ+LST-3015FOL(2kWと4kW)

ファイバーレーザマシンを3台保有する鋼材加工業者

同社は1949年、先々代の樫本勇氏が福岡県八幡市山王町にて個人創業、製鋼原料の取り扱いを始めた。1968年に薄板用レベラーを新設して鋼板の委託加工を始め、1970年には丸棒の委託圧延加工にも手を広げた。1974年に㈱樫本商店を設立。1975年、丸棒業界が石油ショックで構造不況に陥ったこともあり、委託圧延事業から撤退した。1981年、本社所在地を陣山に移転、翌年には特殊鋼の素材販売および切断加工販売も開始した。1993年、先代社長の死去にともない、娘婿だった濱屋慎吉氏が代表取締役に就任した。

 1994年にプラズマ切断機、2006~07年には自走式CO2レーザマシン2台を相次いで導入し、鋼材の加工販売事業を強化。2013年には自走式ファイバーレーザマシン(2kW)とアマダ製のファイバーレーザマシンFOL-3015AJ+LST-3015FOL(2kW)を、2014年3月には2台目のFOL-AJ(4kW)を導入した。3台のファイバーレーザマシンを設備する加工業者は例がなく、同業者からの見学者が絶えない。

ファイバーレーザは薄板(特に高反射材)の高速加工向きという認識が一般的な中で、同社のような全国厚板シヤリング工業組合に加盟する鋼材加工企業が導入したのはなぜか―その狙いを濱屋社長に聞いた。

画像:生産量は1.5倍、電力費は横ばい代表取締役の濱屋慎吉氏

鋼材加工業者にビッグチャンス到来

「2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災などで、業界の先行きには不透明感が漂いますが、その一方で震災復興事業はもとより戦後70年を迎え、様々な社会インフラの修繕・修復が重要課題となってきており、政府与党も『国土強靭化』のために官民合わせて200兆円もの投資を計画しているといわれています。道路・鉄道・港湾などの社会インフラ、また電気・ガス・水道などのライフラインで大規模修復事業が始まっています。さらに2020年の東京五輪開催へ向けたインフラ整備も加わり、国内の鋼材需要は拡大する傾向にあります。先行きの不透明感は拭いきれませんが、鋼材加工販売業にとっては、タイミングよく事業を補捉すればビッグチャンスが来ると期待しています」。

「社長就任後は社会環境の変化にスピーディーに対応し、技術および製品の高品質化をいっそう進めるとともに、顧客ニーズを的確に捉え、対応力をブラッシュアップすることを心がけてきました。変化が激しい時にこそチャンスをモノにする設備力の強化が必要だと考えました。量的拡大だけでなく付加価値―“質”の向上を目指しました」。

「特にレーザ加工のランニングコスト―中でも電力費に着目し、消費電力の削減を考えました。それまでのCO2レーザのエネルギー変換効率は10%にも満たない。しかもレーザガスが必要なこと、発振したビームを加工ヘッドに導光するためにベンドミラーを何枚も使わなければならず、そのビームを集光するレンズが必要です。そのため定期的なメンテナンスや段取りが発生し、大変な手間と費用がかかっていました」。

「一方、ファイバーレーザはエネルギー変換効率が高く、電力費はCO2レーザの1/3以下、しかもレーザガスが不要で、発振したビームはファイバー伝送されるため加工ヘッド
に導光するためのミラーが要りません。そこで2013年、自走式のファイバーレーザマシンと、3軸リニアドライブのファイバーレーザマシンFOL-AJの導入を決めました」。

画像:生産量は1.5倍、電力費は横ばいファイバーレーザマシン導入前と、導入後の項目別比較

つづきは本誌2015年4月号でご購読下さい。

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