板金論壇

四国の板金事情―気概で勝負

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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独特の文化と風土を備える四国

昨年末からこの春にかけて、取材で四国を訪れる機会が増えた。四国は香川、愛媛、高知、徳島の4県で構成されているが、それぞれに風光明媚な観光地を持ち、独特の文化と風土を備えた地域だ。

よく訪れるのが香川県高松市。この地域は讃岐うどんが有名で、道路を走っていても至るところにうどん屋が建ち並んでいる。うどん好きは、茹で上がった麺に、すりおろした生姜や大根おろしと薬味ねぎを入れ、濃い目の汁をそのまま注ぐ「ぶっかけうどん」をよく食べている。

香川県は年間を通して降水量が少なく高い山もないので、水の確保が難しく、県民の生活水や飲料水は高知県から買っている模様。高速道路から見る車窓には数多くの大小の溜め池があり、田畑の灌漑用に供される。生活の知恵が溜め池をつくった。その結果、水田での稲作よりも畑で耕作する麦栽培が盛んで、それが「うどん県」を成し、うどん好きの原因と言われるゆえんかもしれない。

愛媛県は瀬戸内の温暖な気候を活かして、柑橘類の栽培が盛んなほか、道後温泉に代表されるように観光地も多い。さらに司馬遼太郎の『坂の上の雲』でも描かれたように、日清・日露戦争を戦い抜いた日本陸軍・海軍の逸材といわれる秋山好古、真之兄弟や、真之と親しかった歌人、正岡子規なども輩出している。むろん、夏目漱石の『坊ちゃん』でもすっかり有名となっている。

そして高知県はなんと言っても坂本龍馬を筆頭に、維新黎明期に活躍した武市半平太などの生誕地でもあり、歴史好きには外せない地域。勇壮な鰹の一本釣り、五月の初めの「初ガツオ」はイケる人も下戸でも魅力的な一品である。太平洋と険しい四国山脈に囲まれ、春先にさわやかな香りと味わいを届けてくれる「土佐文旦」も最近はブランド化して、首都圏でもその時期しかいただけない高級品となっている。

徳島県は鳴門の渦潮見物に島の先端へ向かう観光バスが列をなしている。そこまで行くと淡路島が目と鼻の先にあり、近年は鳴門市から淡路島を縦断して明石海峡を越えて神戸につながる道路網が整備され、関西経済圏に取りこまれつつある。

つづきは本誌2015年4月号でご購読下さい。

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