研究室訪問

レーザ直接描画法による3次元フレキシブル金属構造の作製

慶應義塾大学理工学部電子工学科 准教授 寺川 光洋 氏

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「先端科学技術と人をつなぐレーザ加工」

画像:レーザ直接描画法による3次元フレキシブル金属構造の作製寺川光洋氏

寺川光洋准教授の研究室は「先端科学技術と人をつなぐレーザ加工」をキーワードとして、高強度光と物質の相互作用の物理を軸としたレーザプロセッシングの新しい応用研究を推進。特に、金属や透明誘電体等を加工対象とした研究に加え、バイオマテリアル、細胞、ハイドロゲル等を利用した研究も進めている。

研究では、萌芽的段階からスタートして新しい応用・概念を示すことに特に力を入れている。レーザを使うことにより、これまでにはないデバイス、アクティブインプラント、人工臓器を実現するための基盤技術を創出し、将来、インテリジェント化したハイテク工場で「やわらかいもの」が高速に生産される、そんな未来を思い描いている。

画像:レーザ直接描画法による3次元フレキシブル金属構造の作製左:研究室に設置されている全固体ワンボックス型フェムト秒再生増幅器/右:研究室の設備を説明する寺川准教授

レーザとの出会い

「高校生までは広島県で過ごし、慶應義塾大学に入学後は、修士・博士課程と慶應の中で過ごしました。大学4年生で研究室に配属になってからは、レーザ応用の研究に従事、学部生時代はナノ秒パルスレーザを使って、細胞の中に外から薬を入れる研究を行いました。当時ご指導いただいていたのが小原實先生です。研究だけでなく、物事を考えるうえで根幹となる教えをいただいた、生涯の恩師です」。

「私の卒論は薬を細胞の中に入れる研究です。修論はちょっと変わって、遺伝子を細胞の中に入れる研究になりました。培養した細胞に、プラスミドDNAをレーザにより発生させた圧力で押し込む研究をしていました」。

「学生の頃、小原先生に『研究では0.5+0.5は1にならない』とご指導を受けました。『中途半端な知識だと全然役に立たない。バイオをやるにしても光の知識と物理をしっかり理解しなさい』と言われました。小原研究室はレーザ加工にも力を入れていたので、どういう相互作用があるか、しっかり理解しなさいというご指摘で、今になって顧みるとすごく的確かつ本質的で、今の自分の研究姿勢においても土台となっています」。

「博士号取得後は、ハーバード大学医学部附属マサチューセッツ総合病院にリサーチフェローとして留学をさせていただきました。ウェルマン・センターは、半分が医師免許を持っているメディカルドクターで、残りの半分は工学博士等のPhDという、医工連携のセンターです。私は光感受性薬剤を使ってバクテリアを殺菌する『抗微生物光線力学的治療に関する研究』に携わりました」。

つづきは本誌2018年10月号でご購読下さい。

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