特集2

“Chance, Challenge, Change”を目指す台湾板金業界

日本を向く台湾の板金業界

ポジティブ・マインドで積極投資

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画像:日本を向く台湾の板金業界①ガラス越しに稼働状況を見ながらプログラム作業を行う/②溶接の作業環境に配慮した工場(写真はいずれも次号掲載予定の台華精技股份有限公司)

政治の変化が経済の流れを変える

台湾は1月16日の総統選挙で、国民党に代わって民進党の蔡英文主席が総統に選出されるとともに、立法委員(国会議員に相当)選挙でも民進党が過半数を占めた。これにより民進党による政権運営が安定すると思われる。それだけに台湾国民の多くが政治の変化 ― “Change”を期待している。

台湾の経済環境は、2015年通年のGDP成長率が0.85%と、リーマンショック以来6年ぶりの低水準となった。外需の低迷に加え内需も冷え込んだ。

台湾財政部が発表した貿易統計によると、2015年の貿易総額は前年比13.3%減の5,094億400万ドルだった。このうち、輸出は10.6%減の2,804億8,100万ドル、輸入は16.5%減の2,289億2,300万ドルと、輸出入ともに2ケタ減となった。他方、貿易収支は30.0%増の515億5,800万ドルの黒字となった。世界経済の鈍化や原料価格の低迷が影響したとしている。

輸出減の主因は、中国経済の減速。投資の増勢鈍化を主因に、2015年の中国の実質GDP成長率が6年ぶりに7%を割り込んだことで、幅広い品目で需要が減退し、対中輸出が減少を続けている。

台湾行政院主計総処は2月、2016年のGDP成長率について2度目の下方修正を行い、1.47%と予測した。年明け後の世界経済は、昨年末に米国が発表した金利引き上げに始まり、原油価格の低迷、イランとサウジアラビアの国交断絶やISによるテロ拡大といった中東情勢の混迷により、不透明感が増している。特に台湾経済への影響が大きい中国経済は、財政出動を含む景気てこ入れ策でハードランディングは回避される公算ながら、見通しの難しさから、2016年の成長率目標に幅をもたせ「6.5~7%」とする方針。また、中国国内の人件費が上昇することで中国へ製造を移管していた台湾企業の中には、生産拠点をベトナムやミャンマーへ移転したり、台湾へ回帰したりする傾向が強まっており、中国が台湾経済をけん引する力は低下傾向にある。

画像:日本を向く台湾の板金業界台湾の実質GDP成長率の推移/IMF、台湾行政院主計総処

つづきは本誌2016年3月号でご購読下さい。

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