〜食糧安保が後押し──市場拡大が続く農業機械〜
2050年には世界人口が100億人に 国連の推計によると、世界の人口は昨年で70億人に達し、現在も1日20万人のペースで増加している。このままのスピードで人口が増加していけば、2050年に世界人口は100億人に達する。農耕が始まった新石器時代の地球の推定人口が400万人程度と言われていることから考えると、その間に1万年という時の流れが横たわっているにしても、世界人口100億人というのはあまりにも大きな数字である。 地球の大きさは変わらないから、食糧を生産する農耕地の不足が深刻になる。ある研究によると、地球上に存在し、人類が棲むのに適している(居住・食糧生産など)生存適地はもともと1人あたり1.7ヘクタール(1万7,000m2)とされており、現在の70億人でも不足の状況。そこで人類は、食糧を得るために生存適地を2.2ヘクタール(2万2,000m2)まで拡大し、利用している。荒地を開墾するとともに、荒地でも育つ食物、遺伝子組み換え食品の開発など、新たな食糧確保の方策を考えなければ、世界人口の伸びに食糧生産が追いつかないという事態が現実のものとなるからだ。 食糧安全保障は国家戦略の根幹 ![]() 日本では1999年7月に公布・施行された「食料・農業・農村基本法」において、食糧安全保障に関する規定を設け、不測時には国が必要な施策を講ずることを明らかにしている。しかし具体的な対応については十分ではなく、実態としては成り行き任せという現実がある。 すでに日本の農業従事者数は1985年から2005年までの20年で約900万人から約560万人に激減した。しかも農業従事者の平均年齢は65.8歳、米作農家に限れば70歳と高齢化が深刻な状況となっている。その一方で耕作放棄地は約15万ヘクタールから約40万ヘクタールに拡大して、「農地はあるが農業をしない非農家」の割合が増えてきている。... つづきは本誌2012年4月号でご購読下さい。 |