〜世界経済をリードする中国の板金事情〜
2010年GDP 中国は世界2位に浮上 2010年のGDP国際比較では、日本の名目GDPは5兆4,742億ドル(約449兆円、1ドル=82円換算)、中国は約5兆8,786億ドル(約482兆円)となり、日本はGDP世界第2位の座を中国に明け渡すこととなった(図表1)。 しかし、1人あたりのGDPを見ると、中国は先進国の水準を大きく下回る。2009年の中国の1人あたりのGDPは3,566ドル(約29.2万円)で世界99位。それに対して世界16位の日本は3万9,573ドル(約324.5万円)で、中国の10倍以上となっている。 なお、世界の1人あたりのGDPは平均8,000ドル(約65.6万円)で、中国は世界平均の45%にも満たない。また、中国の1人あたりの資産額は、世界100位以下となっている。 日本や中国のメディアは、中国がGDPで日本を抜き、世界第2位になったことをことさらに強調している。このことは、世界経済にとって象徴的な出来事にはちがいないが、今後の動静を見極めるためにも、中国経済に対しては冷静な分析と認識が必要である。特に国内の板金加工業者は、このまま国内に残るリスクと、世界の製造工場となっている中国をはじめとする海外へ進出するリスクとを秤にかけ、正しい経営判断を行わなければならない。 「国進民退」政策により “太くて強い”国営企業 ![]() 中国の国有石油企業大手の中国石油天然気集団(CNPC)は2010年の利益(速報値)が1,676億元(約2.1兆円、1元=12.5円換算)になったと発表。CNPCの子会社の上場企業・ペトロチャイナは常に株式時価総額で世界トップ3を争っている。 金融では中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行の4大行がすべて国有で、農業銀行は昨年、世界記録を塗り替える221億ドル(約1.8兆円)の新規株式公開(IPO)を実施した。このように国有企業ばかりが伸びる経済構造は、中国では「国進民退」と呼ばれ、政府が主導する「開発独裁」と呼ばれる手法によるといわれている。したがって、たとえ純粋な民間企業であっても政府とのつながりは深く、ここにきて民間企業は伸び悩んでいる、そこには政治的な意図も隠されている――といった報道も目に付く。 民営企業の進路 多国籍企業を中心とした外資系企業との合作を行う民営企業は、出資環境の変化で市場経済に対応したメカニズムを備え、海外との取引が拡大。このことにより、企業体質も大きく変わり、人材のグローバル化が促進され、コーポレートガバナンスも確立した。 特にリーマンショック以降は、世界経済が疲弊する中、4兆元(約50兆円)の緊急経済対策の効果で中国経済が独歩で成長を持続。一躍、世界経済を牽引するようになると、中国企業の成長性や収益性に対する評価は急速に高まっていった。... つづきは本誌2011年4月号でご購読下さい。 |