大規模量産型から小規模多品種少量型へ ![]() 1961年の創業当初、同社は厨房関係の溶接加工やレジスターなどを手づくり板金で製作。その後、1971年に設備を増設し、プレス、シャーリングマシン、ニブリングマシンなどを導入し、住宅関連機器を手がけるようになった。それ以後は一貫して“量産”を前提とした拡大戦略を採ってきた。1978年にはプレス自動機を導入して家電製品の加工を手がけるようになり、その後もプレスロボット、自働供給装置付きのパンチングマシン、長尺(4m)加工に対応するベンディングロボットシステムなどを導入していった。 「1997年頃の方針転換が節目でした。低価格の量産品は海外に出ていってしまい、下請けのサプライヤーは従業員を多く抱えるような規模でやっていけるような時代ではなくなります。1次下請け企業の中には、価格が合わなくても量産品を社内に持ち込まないと工数が埋まらない、その反面、コスト対応ができないと利益が出ず食べていけない、といった様々な問題が出ています。そういう意味でも少数精鋭で高付加価値の仕事を手がけていくことが勝ち抜く道だろうと考えました。その結果として、設備の差こそありますが、創業した頃の業態に戻りつつあるのかな、と思っています」。 主要得意先10社―売上の平準化を実現 ![]() 「業種は多ければ多いほど良い。お客さまの数はできるだけ多くして、1社あたりの売上比率は10〜20%程度が理想的です。リーマンショックのような構造変化による市場全体の収縮というようなことが起こらない限り、どこかが悪くても、どこかが良かったりする。得意先が1〜2社しかないのでは、1社が工場を移せばそれで手詰まりになってしまいます」。 リピート率は約60%で、新規品の割合は約40%となっている。 「現在は、低価格・量産の仕事は海外に流出、日本に残っている仕事は短納期化・低価格化の傾向が顕著です。経営的に見れば、リピート品が定期的に流れていくのが理想的ですが、量産の仕事はおのずと価格が下がっていき、熾烈な価格競争で体力を削られていく。そうすると、海外でつくっていたら間に合わない仕事、当社でしかできない仕事を優先してやっていくしかない。新規品の割合が高めなのは、そうした意識で取り組んできた成果です」。... つづきは本誌2010年11月号でご購読下さい。 |