「見える設計」で変わる現場 3次元CAD活用最前線

設計変更に強い3D設計へ ― パラメトリックで“属人化”をなくす

株式会社 H-ENG 代表取締役 林 義人

LINEで送る
Pocket

画像:設計変更に強い3D設計へ ― パラメトリックで“属人化”をなくす同じ形状のモデルで幅寸法を変更した例

3次元CADは設計変更に強い ― 強みを支える「パラメトリック設計」

第3回では、「アセンブリ」を使うことで、部品同士の干渉や溶接・組立時の問題を設計段階で確認できることを紹介しました。3次元CADを使うと、部品単体では見えなかったリスクを、製品全体の中で確認できます。

第1回では、3次元CADの強みのひとつとして「設計変更に強い」という点を紹介しました。板金製品では、「カタチは同じで、サイズだけちがう」という案件がよくあります。そのたびに2次元図面をコピーして寸法を修正していたのでは、手間もミスも避けられません。

今回は、3次元CADの「設計変更に強い」という話を、もう少し具体的に掘り下げます。

板金製品では、お客さまから「この製品を少し幅広にしたい」「高さちがいの仕様もほしい」「取付穴の位置だけ変えたい」「同じ形状でサイズちがいを数種類用意したい」といった要望を受けることがよくあります。

また、製作依頼図面でも、寸法値の代わりに図中に寸法表を記載して複数のサイズちがいを表現する場合があります。一見すると効率的な方法ですが、実際には記号と寸法表の対応を確認しながら設計・製造する必要があり、読みちがいや変更漏れが起きる可能性が高まります。

設計の現場では、こうしたサイズちがいや仕様ちがいへの対応を、いかに早く、正確に行うかが求められます。そのとき、2次元図面だけで運用していると、変更箇所を一つひとつ目視で確認しながら修正する必要があります。

「関連する線を修正する」「寸法を修正する」「部品表を修正する」 ― どこか1カ所でも修正が漏れると、不具合に直結し、加工や組立の現場で手戻りが起きます。

設計変更の対応は、単に図面を描き直す作業ではありません。変更内容を正しく反映し、関連する図面や部品との整合性を保つことが重要です。

そこで必要になるのが、3次元CADを使った「変更に強い設計」であり、そのカギになるのが「パラメトリック設計」です。

設計変更で起きる“見えないムダ”

製造業の設計現場では、「完全な新規設計」と「過去の図面を流用した設計」があります。「過去の図面を流用した設計」は、以前つくった製品をもとにして、幅・高さ・穴位置・板厚などを変え、新しい製品として展開していく ― これは現実的な設計方法ですが、危険もあります。

たとえば、ある部品の幅を変更した場合、その幅に関係する穴位置や曲げ位置、相手部品の寸法も見直す必要があります。ところが2次元図面では、どの寸法がどこに関係しているのかが図面上に残りにくい場合があります。そのため、設計者の頭の中ではわかっていても、別の人が修正すると関係性を見落とすことがあります。

「部品図は直したが組立図が古いまま」「正面図は直したが、平面図を直し忘れている」「右側面図の寸法変更が抜けている」「穴位置は変えたが、相手部品を直していない」「展開図に変更が反映されていない」「部品表の品番や数量が合っていない」 ― こうしたミスは、加工のやり直し、組立作業の停止、外注先への再手配、納期遅れにつながります。

つまり、設計変更とは単なる作図作業ではなく、会社全体の生産性に関わる重要な工程なのです。

全文掲載PDFはこちら全文掲載PDFはこちら

つづきは本誌2026年8月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

「見える設計」で変わる現場 3次元CAD活用最前線記事一覧はこちらから