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サクセス事例に学ぶ ― 営業利益率25%の板金企業

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先日おうかがいした企業で、板金業界の営業利益率が話題となった。その企業の営業利益率は25%で推移しており、将来的には30%を目指していると話されていた。この企業はステンレス・アルミ(アルマイト処理済み)材料による半導体メーカー向けの物流システム関連機器の受注が50%以上を占めており、前期売上高は15億円となっている。今期は搬送装置納入が山を越し、受注は前期比で20%ほど減少となる見込みだが、それでも営業利益率は25%になるという。得意先からは2027年1月からは忙しくなると内示を受けており、今期はさらなる自動化投資も計画されていた。

売上高営業利益率とは、営業利益を売上高で除して求めたもので、企業の収益性・経営能率の良否を示す重要な比率で、利幅の程度を表す。売上高営業利益率は、製造および販売活動に関係するので、本業の成果を見ることができる。

公表されている統計数字は古いが、経済産業省が2007年に発表した「商工業実態基本調査」の製造企業における中小企業の売上高営業利益率を見ると、「一般機械器具製造業」の5.4%が最も高く、次いで「その他の製造業」「家具・装備品製造業」が5.2%となった。他方、売上高営業利益率が低いのは「鉄鋼業」の2.1%、「石油製品・石炭製品製造業」の2.3%、「木材・木製品製造業」の2.8%だった。

この数値は今も大きくは変化していないと思われるが、私がこれまでにうかがったお客さまの平均的な利益率は8~15%と実態調査の数字と比べて大きく上まわっている。それだけに板金業界はほかの製造業と比較すると、営業利益率が高い、恵まれた産業ともいえる。その要因としては、材料費の割合が低いことが挙げられる。シート材から切り出した材料に抜き、成形、タップ加工までを施したブランク材に曲げ、溶接、表面処理などを行った後に組立を行うので、後工程が加わるごとに付加価値が上がっていく点が量産のプレス加工、削り出しの機械加工とは異なっている。

一方で、変種変量生産への対応などが求められ、管理が重要になっている。

先述した企業は営業利益率30%を目指しており、現在の25%という数字に満足されていなかった。同じ製造業、板金加工業でありながら、なぜこれほどの差になるのか、その理由を尋ねると3つのポイントを挙げられた。

1つ目は設備投資は7年リースを活用し、毎年支払うリース料を平準化。毎年1台ずつ新しい設備をリースで導入することで、支払いをおさえて設備力を強化する。2つ目は納期のあるリピート品は一度に生産して在庫。現場の負荷を平準化することで、多品種少量の特急品など単価の高い製品を積極的に受注して、付加価値を向上させる。3つ目は受注競争に巻き込まれそうになったら商談から降りる。設備に余裕ができるが稼働率は追いかけない。稼働率アップのために、仕事を追いかけた安値受注はしない ― を徹底して心がけているという。

こうした方針を決めた経緯についてうかがうと、「他社でやっていることで良いと思ったことをまねている」と返事が返ってきた。この経営者は小誌の長年の購読者で、記事で取り上げられた企業の良いところを探し、これはと思った企業には直接電話をかけ、工場見学をお願いしているという。

「儲からない。どうしたら儲けられるのか」と問いかける前に、他社はどうしているかを学ぶことの大切さを、あらためてこのお客さまから教えていただきました。

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