「第2回 くだらないものグランプリ」でグランプリを受賞
コロナ禍に「耐えて、あがいて、勝つ」
千成工業 株式会社
①「第2回くだらないものグランプリ」でグランプリを獲得した「グナッシ~」/②3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを使って製品モデルを作成する(写真は「グナッシ~」の3次元モデル)
「第2回 くだらないものグランプリ」でグランプリ
木村典雄社長(左)と木村彰治専務(右)
昨年10月2日、“くだらなくて笑えてしまう一品”を製作して日本一を競う「第2回 くだらないものグランプリ」が開催された。開催当日は愛知県や岐阜県など5都府県から19社が集まり、名古屋市内の会場から、町工場の技術とそこで働く人の魅力を日本中にライブ配信した。このイベントでグランプリを受賞したのが愛知県小牧市にある千成工業㈱である。
「くだらないものグランプリ」とは、ものづくりのプロが自社技術を駆使して「くだらなくて笑えてしまう一品」を本気で製作するというもので、今回が2回目。町工場の熱い戦いとして注目を集めるようになった。
グランプリへの参加を希望する企業は、応募作品の製作過程を動画で撮影し、9月17日から10月1日までの期間、YouTubeの「くだらないものグランプリ専用チャンネル」で事前投票用プレゼン動画を公開。審査員として登録した全国の一般視聴者がそれを見て投票する。
グランプリ本番である10月2日は、応募者が作品の特徴や苦労話を紹介。会場の審査委員の評価と、一般視聴者からの投票総数で各賞が選出された。
2018年に導入したレーザマシンFO-MⅡ 2412NT
2021年9月に導入したベンディングマシンHG-8025
「グナッシ~」の誕生経緯
グランプリを受賞した千成工業が製作したのは、コンビニエンスストアのおにぎりから苦手な具材を抜き取る装置「グナッシ~」。梅干しが苦手な社員が、差し入れのおにぎりを食べることができなかったことにヒントを得て発案した。
SUS304でおにぎり入れをつくり、高精度に加工した三角形の抜き型でおにぎりの中心を垂直に押し込み、具だけをくり抜く。構造はシンプルだがかたちも崩れず具だけを抜き出すことができる。グランプリの趣旨どおり“くだらない”とも思われるが、精密に仕上がっているところが高く評価された。
木村彰治専務は応募作品を製作した経緯について、次のように述べている。
「残業中に社長がおにぎりを差し入れてくれたのですが、早い者勝ちで選び取っていくので、出遅れてしまった社員には梅干し入りしか残りませんでした。その社員が『俺、梅干し食えないんだけど~』とこぼし、それを聞いたほかの社員が『それなら具を抜いて食べたらいいよ』と冗談を言ったことがきっかけで、苦手な具の部分だけを取り除く装置をつくることになりました」。
「板金加工、製缶溶接には自信があったので、自社技術のPRにもなると考えて、くだらないものグランプリに応募しましたが、まさかグランプリに選ばれるとは思いませんでした」。
同社が製作した東京五輪・パラリンピックの公式マスコット、「ミライトワ」と「ソメイティ」の立体花壇用の骨格
お台場にできたシンボルプロムナード公園マスコットガーデンに設置されたミライトワとソメイティの像。全身を草とペチュニアの花で飾りつけられている
会社情報
- 会社名
- 千成工業 株式会社
- 代表取締役
- 木村 典雄
- 所在地
- 愛知県小牧市高根2-489-1
- 電話
- 0568-65-6211
- 設立
- 1962年(1952年創業)
- 従業員数
- 11名
- 主要事業
- 各種金属による製缶・板金加工、各種金属による溶接加工、一般機械設備および生産設備全般
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