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ビジョナリー・カンパニーを目指せ

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最近お客さまをまわっていて気が付くのはビジョナリー・カンパニーを目指す企業が増えていることだ。特に社歴が古く、2代目、3代目と事業承継によって世代交代した企業に、そうした傾向がみられる。

景気の好循環が続き、先行きにも明るさもみえてきたが、社会には何となくギスギスとした閉塞感が漂っている。さらに物価高をはじめとしたインフレ、AIの進歩・発展にともなうリスク、東欧から中東、東アジアの地政学リスクなど、あらゆる要素が複合的に絡み合い、同時に襲いかかってくることによって、「将来どうなるのか」がわからなくなっており、「不確実な時代」ともいわれる状況が、今後もずっと続くのではという予感が広がっている。そんな状況だからこそ、ビジョナリー・カンパニーを目指す企業が増えているのかもしれない。

ビジョナリー・カンパニーとは明確なビジョンや独自の基本理念を掲げ、社会や地域を巻き込みながら、長期的な成長や変革を目指す企業といわれている。こうした企業では、ワンマンでカリスマ的な経営者の個人の力に頼るのではなく、リーダーが去ってもまわり続ける自律分散型でフラットな「組織の仕組み」を重視する傾向が強い。基本理念を維持して、進歩を促すために変化しない中核の価値観を持ちながら、社会や環境の変化に対応して事業や技術は大胆に変革を行う。変化対応力を備え、一見すると不可能に思える野心的な目標を設定して前へ進もうとしている。

ある経営者は高村光太郎の「道程」にある「僕の前に道はない 僕の後ろに道はできる」という言葉を社内に掲示する。誰かがつくった定番の安全な道をいくのではなく、自分たちが歩んだ一歩一歩が、結果として自分たちの人生の道をつくっていく。「社員には主体性と強い意志を持ってもらいたい」と語っていたのが記憶に残る。

また、ある経営者は「試練は呼びかけ・必ず一本の白い道がある・やるだけやって後は托身」と「人事を尽くして天命を待つ」の心境で、社員とともに未来を創造することを目指すようになった。自身の身の丈を知り、「会社の発展と、社員一人ひとりの幸せを追求し続ける日本一の板金塗装企業を目指す」という明確なビジョンを掲げ、社員一人ひとりの幸せを考えるビジョナリー・カンパニーを目指している。

また別の経営者は、先代がワンマン経営者で、すべてトップダウンだったという。当初はその経営手法を批判したこともあったが、今の自社があるのは先人が積み上げたものがあったからと思い直し、自分はこれから何をしたいかを考え、自身の思い描く未来を伝えることに考え方をシフトした。そして会社には自分を支えてくれる社員、仲間がいると考え、社員に会社の理念・ビジョンを浸透させていくことを目指して語り続けた。

ここに紹介した企業は規模も従業員数も異なるものの、ここ数年で売上、営業利益を大きく伸ばしており、営業利益率は15~20%に迫る高収益企業に成長している点では共通している。その結果、社員の給与も業界水準を上まわり、残業時間も減っている。自動化を推進していることもあるが社員のモチベーションが高く、設備稼働率も高い。

また、地域貢献にも熱心に取り組み、周辺の小中学生向けの工場見学会など、地域住民に自社がどんな製品を、どのようにつくっているかを知ってもらうイベントを実施している。

こうした企業が増え、板金業界がさらに盛り上がっていくことを期待している。

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