3Dデータを“つくって終わり”にしない ― BOM連携・自動展開・協力会社共有
株式会社 H-ENG 代表取締役 林 義人
3Dデータを製造、協力会社、調達にどう活用するか ― 会社全体の業務改善につなげる
第4回では、パラメトリック設計を使い、寸法変更や類似品対応に強い3D設計の考え方を紹介しました。3Dモデルに寸法や関係式を持たせておけば、幅や高さを変更したときに、関連する形状も追従して更新できます。これは、2D図面をコピーして修正する設計に比べて、変更漏れを減らし、設計者ごとの判断のバラツキを抑えるうえで大きな効果があります。
しかし、3次元CADの価値は、モデルをつくるところで終わるものではありません。作成した3Dデータを、製造、協力会社、調達にどうつなげるか ― ここまで考えて初めて、3次元CADは会社全体の業務改善につながります。
設計者の画面の中では正しいモデルができていても、その情報が次工程に正しく伝わらなければ、現場では手戻りが起きます。「部品の数量を読みちがえる」「材質や板厚を確認し直す」「展開図と部品図の整合性を確認する」「協力会社から『この形状で合っていますか』と問い合わせが来る」 ― こうした確認作業は、毎日の業務の中で積み重なり、加工のやり直し、協力会社への再手配、納期遅れにつながることもあります。
今回は、作成した3Dデータを製造、協力会社、調達にどう活用するかを取り上げます。
3Dデータは単なる「形状データ」ではない
3次元CADで作成したモデルは、単なる立体形状ではありません。部品名、材質、板厚、数量、構成、加工に必要な寸法、組立上の位置関係など、ものづくりに必要な情報を持たせることができます。
2D図面中心の運用では、これらの情報が複数の場所に分散しがちです。アッシー図(組み図)、部品図、部品表、展開図、見積依頼書、協力会社へのメール ― それぞれに情報が分散していると、その都度、人が確認しながらつなぎ合わせる必要があります。
3Dデータを中心に運用すると、こうした情報の分断を減らすことができます。アセンブリモデルには、どの部品がいくつ使われているかの情報が含まれます。部品モデルには、板厚や材質などの属性を持たせることができます。モデルから図面や展開図を作成すれば、同じ元データから必要な情報を取り出せます。
つまり3Dデータは、形状を表すためだけのものではなく、設計情報を次工程へ渡すための土台になるのです。
BOM連携で部品情報を一元化する
製造や調達に3Dデータを活用するうえで重要になるのが、「BOM」です。BOMとは「Bill of Materials」の略で、日本語では「部品表」や「部品構成表」と呼ばれます。製品を構成する部品名、品番、数量、材質、板厚などを一覧にしたものです。
2D図面中心の運用では、「部品表」を別途Excelなどで作成している会社も多いと思います。もちろんExcel管理自体が悪いわけではありません。しかし、図面やモデルとは別に部品表をつくる場合、設計変更のたびに部品表も更新する必要があります。
「部品を追加したのに部品表に入っていない」「数量を変更したのに古い数量のままになっている」「材質を変更したのに調達側へ伝わっていない」 ― こうしたミスは、製造現場や調達部門で発見されることが多く、設計へ差し戻しになります。材料を手配してしまった後で気づくこともあります。
3次元CADでは、アセンブリモデルをもとに部品構成を確認できます。アセンブリモデルで部品の追加や、数量変更を行うと、即座にBOMが自動更新されます。さらに、部品ごとに材質や板厚などの属性を設定しておけば、BOMとして活用しやすくなります。
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