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「努力を重ね、物事を安定させていく」2025年

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新年明けましておめでとうございます。光陰矢のごとし。時間の経過が早過ぎて、目まぐるしい変化に対応するのも大変です。取材させていただくお客さまも先行きが見通せず、足もともさることながら、3カ月、半年、1年先がどうなるのか不安だという方々が増えています。

2025年の干支は、乙巳(きのとみ)。60年周期の干支の中で42番目に位置し、「努力を重ね、物事を安定させていく」という意味合いを持つ年とされている。「巳」は十二支の6番目で、蛇を表す。蛇は古来より、豊穣や金運をつかさどる神様として祀られることもあり、神聖な生き物として認識されてきた。たくましい生命力があり医療、治療、再生のシンボルともされている。

また、運気を上げる縁起物と言われており、蛇の登場する夢を見ると吉兆と言われ、蛇皮の財布や、蛇の抜け殻を財布に入れて持ち歩くと金運が上がるともいわれている。そう考えれば泰然自若、巳年の2025年こそ慌てず、騒がず、状況を分析して先々を見通す余裕を持たなければいけないと、自分に言い聞かせる年の瀬だった。

1月20日の大統領就任式を経て、ドナルド・トランプ氏が今後4年間、アメリカのリーダーとなる。米国第一主義を掲げ、中国やメキシコ、カナダなどから輸入されている製品に対する関税引き上げや、NATO諸国や日本、韓国などアメリカの巨大な軍事力の庇護にある国に対しては、応分の軍事費の負担を要求してくるともいわれている。そして自国産業を保護、振興して再び「強いアメリカ」を目指そうとしている。

大統領選挙の際のテレビ映像を見ていて、熱狂的なトンプ支持者が大声で「USA」と叫んでいるのをみると、なんとなく寒々とした。欧州でポピュリズムが台頭していること、ロシア、北朝鮮、中国など、圧倒的に強権を持った指導者のいる国々のこと、宗教対立に始まった、中東情勢などを重ね合わせてくると、地政学的な課題も含め、「世界の平和と安定」が不安になる。こうした状況を「第二次世界大戦前の状況に酷似している」と揶揄することを否定することができない。

地球温暖化に対する世界各国の取り組みも、トーンダウンしているように見える。トランプ大統領は選挙活動中に、油や天然ガスなど化石燃料の国内生産を増やす方針を示すとともに、就任後1年以内にエネルギーコストを半分にすると発言、「パリ協定」からの離脱も公言した。これを公約どおりに実行すれば、地球温暖化はさらに進み、気候変動による自然災害は増え、海水面上昇により南太平洋の島国は水没の危機すらむかえかねない。先行きをネガティブに捉えると地球や人類の未来もなくなってしまう。

明るい話題と言えば、今を取り巻く状況をただネガティブに捉えるのではなく、明るい未来があるとポジティブに考え、行動する若手経営者や若手研究者が増えていることだ。

その方々に共通しているのが、自分たちが創り出した製品、研究の成果に絶対的な価値があると信じていることだ。そして、その価値によって、世の中にどのように貢献できるか、新たな価値を創造できるかを真剣に考え、実践されている。志を同じくする仲間を集い、自分たちの能力、ネットワークを活用して世のため、人のための貢献を果たそうとひたむきに努力されている。

こうした若い力が2025年に「努力を重ね、物事を安定させる」ことで、人々に「夢」と「希望」と「勇気」を与えてくれることを願う。

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