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「人は城、人は石垣、人は堀」

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日本が抱える人口問題の深刻さを示す統計が相次いで発表された。総務省の人口推計によると、2023年10月1日時点で外国人を含む日本の総人口は、前年比59万5,000人少ない1億2,435万2,000人となった。減少は13年連続でマイナス幅は比較可能な1950年以降で2番目に大きい。

日本人の人口は1億2,119万3,000人で83万7,000人(0.69%)減り、調査が始まった1950年以降で最大の落ち込みとなった。少子高齢化に歯止めがかからず、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は29.1%。75歳以上は2,007万人で、初めて2,000万人を超えた。

また、経済成長を支える生産年齢人口は7,395万2,000人で、25万6,000人減った。全人口に占める割合は59.5%で、米国(64.7%)や英国(63.3%)、韓国(70.4%)、中国(68.9%)などと比べても低い。また、実際に働いている労働力人口は2023年平均6,925万人で、これまで増加傾向にあった女性や高齢者の就業者数が横ばいとなり、人手不足の深刻さを反映している。

結果として日本で働く外国人労働者の数が増えており、厚生労働省によると2023年10月時点で外国人労働者数は204万人余りと、初めて200万人を超えた。国籍別では、ベトナムが51万8,364人で最も多く全体の25.3%を占め、次いで中国が39万7,918人、フィリピンが22万6,846人となっている。日本がこれまでどおりの経済成長を続けるためには、外国人労働者に頼らざるを得ない状況となっている。

一方で、高齢化が進むことで1人暮らしの世帯が一段と増える、という将来推計を国立社会保障・人口問題研究所が発表した。それによると、1世帯あたりの平均人数は9年後の2033年に1.99人と初めて2人を下回り、2050年には65歳以上の1人暮らしが1,083万人と2020年比で47%増加するという。1人暮らしの割合は男性で26%、女性で29%となり、2020年時点から男性が9.7ポイント、女性が5.7ポイント上昇、男性で単身化が大きく進むと予測。年金や医療・介護といった社会保障や生活スタイルなど、先を見据えた改革が求められている。

政府は少子化対策をはじめ、従来の技能研修制度を見直し、「育成就労」の制度創設を決めた。この制度は、人材確保と人材育成を目的としており、基本的に3年間の育成期間で特定技能1号の水準の人材を育成、在留資格「特定技能」への移行を促すことで長期的な就労につなげるのが目的。政府の対応策とは別に、人手不足に悩む企業は自助努力での対応を進めていく必要がある。すでに中小製造企業では多くの外国人労働者が働いており、その割合が全従業員の半数超えの企業も珍しくない。そうした企業ではエンジニア(高度人材)として、日本人社員同等の雇用条件で外国人労働者を採用することで、社員が増えている。

また、滞在が最長5年の「特定技能」の資格者を採用する傾向も顕著になっている。雇用条件、福利厚生を日本人社員と同等にすることで定着率も改善、会社の戦力となっているケースも増えている。こうした取り組みをダイバーシティ経営と位置付け、積極的に取り組む企業も多い。

武田信玄の「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」という言葉を思い起こし、「会社を支えるのは人だから、人を大切にしなければいけない」という教訓を心に刻み、日本人・外国人を問わずあらためて人口減少問題に対処することが求められている。

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