曲げ加工の段取り改善と高精度化への対応
エンドユーザーの満足度を重視したエンジニアリング提案で活路
EG-6013導入によるコイニング加工で曲げ精度向上を実現
有限会社 田中金属
①2014年9月に導入したEG-6013による小物曲げ加工/②EG-6013のAMNC 3iで曲げ加工シミュレーションを確認/③EGによるコイニング加工。ダイの交換頻度が減るとともに、曲げ加工精度が向上した
他社に先駆けてIT武装を進めてきたアーバン工場
㈲田中金属は、京葉線新浦安駅から車で5分の工業団地の一角にあるアーバン(都市型)工場。2代目社長である田中幸雄社長は、1993年頃から、これからは職人の勘と経験に頼ったモノづくりから、コンピュータを活用したデジタルなモノづくりへとシフトしていくと判断し、他社に先駆けてIT武装に取り組んできた。
板金ネットワークサーバーASIS100PCLと2次元CAD/CAM AP60/100を導入し、板金属性入りの展開図から立体姿図を作成。それを曲げ加工データ作成全自動CAM Dr.ABE_Bendがバッチ処理で呼び出して、曲げ加工データを自動生成し、ネットワーク対応型ベンディングマシンのAMNC/PCで加工データを呼び出して運用する曲げのネットワークシステムをいち早く導入した。
さらに、生産管理システムWILL受注・出荷モジュール、3次元ソリッド板金CAD SheetWorks、ネットワークカメラなどを次々と導入し、見積りから受発注、展開・プログラム、生産管理までを一元化したデジタル板金工場を構築。千葉県内の精密板金業界においてデジタル化のパイオニアとなり、若手2代目経営者のリーダー的存在になっていった。
2005年には子息の田中智隆専務が入社し、SheetWorksによる3次元設計と展開・プログラムを担当。リーマンショック後は3次元モデルを活用したエンジニアリング提案力を武器に、新規得意先であるメーカー・商社の商品企画・開発設計にまで深く入り込み、新規分野の開拓を進めている。
単品・試作の仕事が増加する中、2014年9月には単品・一回曲げ・鈍角曲げに特化したマシンとしてEG-6013を導入。コイニング加工の採用により、段取り工数削減と曲げ加工精度向上を実現している。
専務取締役の田中智隆氏
SheetWorksが出発点
同社は創業以来、主要得意先である通信機器メーカーから受注する通信機器用のラックや筐体の仕事が売上全体の95%超を占めていた。しかし2008年のリーマンショック後は、得意先の業績悪化にともない、同社への発注量も一定のペースで減少。そうした中、田中専務は入社以来培ってきたSheetWorksによる3次元設計のスキルを武器に、新規分野の開拓に乗り出していく。
田中智隆専務は現在35歳。大学で声楽を学び、卒業後はオペラなどに出演した後、2005年に26歳で同社に入社したという異色の経歴の持ち主。板金加工の経験は皆無で、入社後はSheetWorksを活用して3次元設計と展開・プログラムを担当した。
2008年から手がけはじめた医療機器の筐体(左)/医療機器の筐体の3次元モデル。田中専務が3次元ソリッド板金CAD SheetWorksで設計した(右)
会社概要
- 会社名
- 有限会社 田中金属
- 代表取締役
- 田中 幸雄
- 専務取締役
- 田中 智隆
- 住所
- 千葉県市川市塩浜3-27-21
- 電話
- 047-395-6300
- 設立
- 1987年
- 従業員
- 5名
- 業務内容
- 通信機器、医療機器、食品機械など
つづきは本誌2015年6月号でご購読下さい。
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