特集

安全・安心と自動化への対応で変わる食品機械業界

製菓・製パン業向け自動成形機械のグローバルメーカー

3次元CAD/CAM 生産の推進により、変種変量生産・短納期への対応を目指す

レオン自動機 株式会社

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画像:製菓・製パン業向け自動成形機械のグローバルメーカー①生地シートからペストリーやパンを成形する「HMライン」/②代表製品である包あん機「火星人®CN 580」

製菓・製パン業向け自動成形機械のトップメーカー

レオン自動機㈱は、製菓・製パン業の市場をメインに、調理成形の自動機械、その前後工程を含む全工程に対応する装置・プラントの開発・製造・販売を手がける国内トップクラスの食品機械メーカー。東証一部上場、従業員規模約700人、2014年3月期には売上高213億円を達成した。㈳日本食品機械工業会の加盟企業は圧倒的に中小メーカーが多いが、その中にあって日本の食品機械業界をリードするトップメーカーである。

輸出比率が7%台と低迷する食品機械業界の中で、同社の海外売上高比率の高さも目立つ。1963年の創立当初から世界戦略を念頭に置き、創立6年目の1969年にはドイツに、1970年には米国に研究所を設立。これまで世界119カ国に納入実績をもち、現在では食品機械部門の海外売上高比率は30%超を占める。

同社の食品加工機械は、2009年に複数の生産拠点を1カ所に集約して再編された上河内工場(栃木県宇都宮市)で一貫生産され、国内外の市場へと供給される。米国・ドイツ・台湾に支社をもち、それぞれにテスト加工ができるショールームを設置。また、同社の先端技術を活用したパンの実験工場を米国で展開しており、米国に開設した実験工場「オレンジベーカリー」は4カ所が稼働中。食品製造部門の売上額が全社売上の30%弱を占めるまでに成長している。

画像:製菓・製パン業向け自動成形機械のグローバルメーカー生産本部長と開発本部長を兼務する森川道男専務取締役/生産統括部長を務める上野貞男執行役員

レオロジーに由来した独自のテクノロジー

創業者であり名誉会長の林虎彦氏は、1950年に24歳で和菓子店を開業。この頃から、和菓子を文化として後世に伝えるためには職人の過重労働をなくす必要があるとして、自動包あん機の開発に取り組み始めた。基礎研究を進める中で、当時は未成熟だったレオロジー(流動学:粘弾性物質の流動性を解析する学問)と出会い、研究に没頭。10年間の個人研究を経て、1961年に世界初の自動包あん機を開発し、1963年にレオン自動機㈱を設立した。

森川道男専務取締役は「レオン自動機という社名もレオロジーにちなんだもの。古今東西を問わず、製菓・製パン商品の9割以上は小麦粉からつくられます。小麦を水に混ぜた時点で粘弾性物質になり、その流動性(レオロジー)を
応用して、職人が手づくりしていたのと同じものを機械でつくり、世界の食文化の継承・発展に貢献するというのが当社の基本的なスタンスです」と語り、品質を犠牲にして大量に安くつくるような考え方とは一線を画することを強調した。

「存在理由のある企業たらん」を創立以来の社是とし、①開発型企業であること(独自の技術を商品化し販売すること)、②国際企業であること(マーケットは全世界であること)、③独立企業であること(どの系列にも属さない独立企業であること)―の3つを企業理念として掲げる。市場・顧客の要求に迅速に対応するため、商社・代理店を使うことなく、直販・直サービスにこだわり、独自の技術・製品・サービスで全世界を網羅している。

生産統括部長の上野貞男執行役員は「社是・企業理念にも通じますが、機械だけをつくっていたのでは片手落ち。その機械を使って何ができるのかが重要と考え、食品そのものの研究、サービスの充実、お客さまとのタイアップに力を入れています。ショールームは、機械の展示だけでなく、お客さまに素材を持ち寄っていただいて“実証加工”を行う機能ももっています。こうした場を通じて、お客さまとの交流をもち、全世界の食文化が集まってくるような企業を目指しています」と語っている。

画像:製菓・製パン業向け自動成形機械のグローバルメーカー製造部門のCAD/CAMルームで3 次元ソリッド板金CAD SheetWorksを操作する大氣高大主査補。CAD/CAM生産の充実と工数積算の精度アップを目指す

つづきは本誌2015年3月号でご購読下さい。

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