特集

安全・安心と自動化への対応で変わる食品機械業界

食品工場向け加工装置の設計、製造、据付までのエンジニアリングに対応

“多能工”と“IT”を武器に、得意先からの信頼を獲得

株式会社 栄進産業

LINEで送る
Pocket

画像:食品工場向け加工装置の設計、製造、据付までのエンジニアリングに対応昨年2月に移転した工場の生産現場。仮組み中の食品機械のラインが並べられている

食品工場向け装置の現地据付まで対応

㈱栄進産業は1978年、食品工場向けの飲料充填機や装置などを開発・販売する食品機械メーカーに務めていた現社長の父親・森本明会長が独立、徳島県徳島市川内町で創業した。

当初はステンレス製缶の仕事をシャーリングや溶接機、ロールなどで対応していた。数年後、以前の勤め先だった食品機械メーカーから仕事を受注し、取引がスタート。その後は、得意先からのコストダウンや短納期要求に応えるため、板金加工だけでなく、機械加工の分野を取り込み、加工領域を拡大してきた。現在では、大手ゼネコンとも連携し、食品工場向け加工装置の設計から、製造、組立、据付までに対応するなど、エンジニアリング分野も拡大。受注は基本的に現地据付までに対応したセット受注で請け負っている。製品は、紙パック飲料充填機の外装フレームやカバーの製作をメインとし、ほかには、食品工場向け空調機器、医薬品関連の部材、大手電機メーカー関連向けの真空チャンバーなどを手がけている。

据付に関しては、設計ミスが現場で発覚した場合、機転を利かせたフォローでベストな対応を行い、得意先からの信頼をますます強固なものにしている。商圏は、徳島はもとより国内・国外を問わず、チームを組んで現地入りし、指定日時内に完了させる対応力は、得意先から高い評価を得ている。

「ミスが発生することは仕方がありません。その対処のアクションをすぐに起こせるかどうかが重要です。きっかけはミスによるものかもしれませんが、素早く、正確な対応を行うことがお客さまからの信頼獲得につながります。仕事を終え、現場を後にする際、『栄進さんに任せておけば何も心配いらないね』という言葉は何よりうれしい」と2代目の森本博社長は語り始めた。以下発言は森本博社長の言。

画像:食品工場向け加工装置の設計、製造、据付までのエンジニアリングに対応元気な声で話し、笑う森本博社長

変化対応力とエンジニアリング力が求められる

加工食品や飲料は流行り廃りが激しいため、食品・飲料メーカーによる新商品の投入や商品の入れ替えスパンは短い。そのため食品・飲料メーカー各社にとって、こうした短サイクルに対応するための生産ラインの垂直立ち上げや、自動化・省力化によるコストダウン対応などの重要性が高い。

最近の傾向としては、食品工場の新設・増設計画の際、ひとつの生産ラインで様々な食品・飲料を生産することができることが以前より重要視されている。単体仕様ではなくバリエーションが広がるような設計、もしくは後からバージョンアップできるような仕様が求められることが多くなった。そして、こうしたニーズに応えることができるエンジニアリング力が必要になっている。

同社の得意先である食品機械メーカーは、紙パック、カップ、カップ麺用の充填機を世界中の食品工場に提供している。ただ、自社で生産工場を持たないため、板金部材の調達を中心に、モノづくりは同社のようなサプライヤーにアウトソーシングしている。

「当社がメインに手がけるのは、食品工場向け装置(フレームやカバーなど)で、加工材料はSUS304が大半です。複数の装置をつなぎあわせると、全長10mにもおよぶラインになることもあります。昨年あたりからは、お客さまから発注される装置が大型化、案件によっては仕様変更の連絡をゼネコンから直接もらうこともあり、当社に求められる仕事の質が変わってきていると感じています」。

画像:食品工場向け加工装置の設計、製造、据付までのエンジニアリングに対応左:レーザマシンQuattro(ロータリーインデックス装置付き)でパイプ・形鋼を加工/右:食品機械関連の外装フレームは、パイプ・形鋼を使ったフレーム構造としている

つづきは本誌2015年3月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

タグ

  • タグはまだ登録されていません。

関連記事

  • 関連記事はありません。

特集記事一覧はこちらから