板金論壇

規模間格差による業界再編の可能性

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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業界によって来賓のランクにも差

新春には恒例となっているが、板金の需要先業界ごとに賀詞交換会が開かれているので、業界動向を知る意味でも参加させてもらっている。今年も自動車関連団体、日本建設機械工業会(建機工)、日本鉄道車輌工業会(鉄車工)、日本食品機械工業会(日食工)などの新年会に参加させてもらった。

自動車関連団体は日本自動車工業会、日本自動車部品工業会などの関連団体が共催するため、参加者は1,000名を超えた。さらに、来賓には宮沢洋一経済産業大臣や太田昭宏国土交通大臣をはじめ、与野党を問わずかなりの数の国会議員の参加もあった。建機工、鉄車工も、会員企業に多くの上場企業があることもあって、所轄官庁である経産省、国交省などからは黒田篤郎製造産業局長、瀧口敬二総合政策局長が来賓として挨拶された。会員数が280社余りもある日食工には、経産省製造産業局産業機械課の佐脇紀代志課長が来賓として出席されていた。

中小企業が大半の日本食品機械工業会

ここで問題としたいのは来賓のランクではなく、工業会に参加する会員企業の規模とその規模間格差による業界の構造的な課題にいかに取り組むかという問題である。とりわけ印象的だったのが日食工だった。

食品機械業界には現在、メーカーである正会員176社・2団体と賛助会員106社、合計284社・団体が参加している。2014年の業界の販売額は正式には発表されていないが2013年の実績である4,438億円からは微増。4,480億円前後となった模様である。正会員のうち、団体を除く会員数で単純に売上高を割り出すと、1社あたり25億円前後。従業員数で見ると会員中、従業員30人以下の企業は44%、50人以下では59%と、圧倒的に中小企業が多いのが特徴となっている。もっと顕著なのが輸出額。2014年の輸出額は2013年(330億円)とほぼ同額の336億円で、業界全体の販売額に占める割合では7.5%と小さい。

自動車、建設機械は海外売上比率が70%以上、鉄道車両でも2017年3月期には現在35%の海外売上高比率を65%に高めることが計画されている。そうした業界と比べ、食品機械業界は7%台と非常に少ない割合にとどまっている。これは、各国によって食の個性化が明白であり、スタンダードに、かつ画一的に賄える機械が少ないという事情も影響しているのかも知れない。食品機械の需要が地域によって異なるので、グローバル化への対応は複雑になる。

バブル崩壊後、食品機械の国内市場は漸減傾向がみられる。しかし国内生産分の販売高はこの10年間、4,000億円台で安定、輸出額は300億円前後で推移しており、今後も大きな変化はない模様だ。

つづきは本誌2015年3月号でご購読下さい。

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