特集

高い国際競争力を備える台湾

世界4位の工作機械輸出国・台湾

世界有数の工作機械産業クラスターを育成、円安影響で日本製工作機械との競争が激化

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2013~14年と生産・輸出が伸び悩み

2013年の台湾の工作機械生産高は45.37億米ドルで、前年の54.14億米ドルと比較すると16.2%減と大幅な落ち込みとなった。世界の工作機械主要生産国の順位も日本、ドイツ、中国、イタリア、韓国、米国に次ぐ7位と、前年の6位から順位を下げた。

台湾で生産する工作機械の3/4は輸出されており、輸出高は2008年に47.6億米ドルという史上最高額を記録し、ドイツ、日本、イタリアに次ぐ世界第4位になった。この数字は、2009年には世界的金融危機の煽りを受け、17億米ドルにまで落ち込んだが、2010年には65%上昇して29億米ドルに急増。続く2011年には世界経済が回復し始めたことから35%上昇して40億米ドル、2012年には42億米ドルまで伸びた。しかし、2013年は35億米ドルと、生産額と同じく16%減となった。

画像:世界4位の工作機械輸出国・台湾台湾の主要な工作機械メーカー/公開資訊觀測站

生産の80%弱を輸出

台湾の工作機械輸出は、世界第1位の生産国である日本(輸出比率71%)の傾向と酷似しており、韓国・中国などとは異なって、2013年は工作機械生産額の78%を輸出している。韓国の輸出比率は41%で、国内需要の方が高い。中国は工作機械の70%弱が国内市場に供給され、輸出は31%にとどまっている。

台湾の工作機械産業は、40年以上の歳月をかけて発展してきた。現在は、ミドル~ハイエンド市場で日本やドイツと、低価格帯市場では韓国・中国・インドなどの競争に直面している。それだけに付加価値改善を目指し、エントリーモデルからミドル~ハイエンドモデルへのシフトを目指して新商品を開発しているが、このグレードの商品は、アベノミクス効果で円安が続く日本製工作機械との競争が厳しさを増している。従来は日本製に比べ、価格的には20~30%のアドバンテージがあったが、現在では価格的には横並びとなり、ミドル~ハイエンドの価格帯では受注競争で苦戦を強いられている。

とりわけ2014年10月以降の急速な円安で、1ドル120円まで為替水準が下がることで、価格の優位性はもはや失われ、台湾製工作機械の競争力は急激に弱くなってきた。

画像:世界4位の工作機械輸出国・台湾(左)台湾製工作機械の生産高/台湾工業技術研究院IEK(右)台湾製工作機械の輸出高/台湾工業技術研究院IEK

つづきは本誌2015年2月号でご購読下さい。

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