板金業界のグローバル化を考える

アジア市場のハブ・ベトナムでローカルサプライヤーと協業、制御盤などを一貫製造

海外流失した仕事を海外で受注する商流を構築

愛建電工 株式会社

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画像:アジア市場のハブ・ベトナムでローカルサプライヤーと協業、制御盤などを一貫製造2011年7月にパートナー企業となったベトナムのローカル板金サプライヤーIndeco社の工場。愛建電工が人材育成と技術指導を行った

各種盤の一貫製造を強みに成長2011年からアジア・ASEAN市場を開拓

愛建電工㈱は創業以来、オートメーションパーツの販売、およびセットメーカーとして各種制御盤、高圧盤、受配電盤などを一貫製造、たしかな技術力で時代のニーズに的確な対応を図ってきた。

国内の大手得意先はリーマンショック後の円高に対応して、地産池消、適地生産を志向し製造拠点を海外へシフト。国内で製造する製品についても、使用する部材調達をグローバル調達する傾向を強め、内需に頼るビジネスだけでは売上の伸びが期待できなくなった。さらにこれまで受注してきた仕事が海外に流失、受注機会すら失っていった。

そうした受注環境の変化に危機感を抱いた同社では、高橋拡行専務が中心となってアジア・ASEAN地域へ流失した仕事を、現地で受注する商流を構築するため、2009年ごろからアジア市場へのハブ拠点設立を計画。手始めにベトナム・ハノイに2011年4月、現地事務所を開設。それからローカルサプライヤーとの協業による各種制御盤、高圧盤、受配電盤の一貫製造・供給体制を確立した。

さらに2013年からは精密板金事業で実績のある㈱三松(代表取締役:田名部徹朗氏、福岡県筑紫野市岡田3-10-9)とも協業。ベトナムのローカルサプライヤーの製造能力、品質管理能力を改善し、供給能力の向上・改善に力を注いでいる。

同社のグローバル化への対応について、主体となって取り組んできた高橋拡行専務に話をお聞きした。

画像:アジア市場のハブ・ベトナムでローカルサプライヤーと協業、制御盤などを一貫製造代表取締役専務の高橋拡行氏(左)と、代表取締役の高橋献樹氏(右)

激変する受注環境への対応

―グローバル化については、リーマンショックで激変した経営環境に対応するために取り組み始めたのでしょうか。

高橋拡行(以下、姓のみ) 制御盤の設計から製造・検査までを一貫して行うことが当社の最大の特長でした。特に当社で設計した案件は100%自社で製作するというビジネスモデルを確立してきました。ところがリーマンショックを契機に、お客さまは原価低減で海外調達を検討されるようになり、海外の盤メーカーとの競争が始まりました。複数の主要なお客さまが相次いで海外調達・現地調達を強化する方針を打ち出されたこともあって、当社としても海外対応能力の強化が緊急の課題となりました。当時、米国の市場調査会社からASEAN・中国・インドを含むアジア地域の経済規模が2020年には日本の3倍となり、GDPでも米国を抜くという報告書が発表され、拡大するアジア市場に当社がどのように向き合っていくかという課題も出てきたことから、グローバル化への対応を真剣に考えるようになりました。

画像:アジア市場のハブ・ベトナムでローカルサプライヤーと協業、制御盤などを一貫製造Indeco社の工場で生産しているキュービクル。同社の主力商品「ai-panel」を構成する製品の一部

つづきは本誌2015年2月号でご購読下さい。

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