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生産と加工の情報をリアルタイムに運用し、ムダ取りを目指す

高い労働コストに対応、ロットは1個から2万個までと幅広い

PSW-Umformtechnik GmbH

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画像:生産と加工の情報をリアルタイムに運用し、ムダ取りを目指すベンディングロボット2台が並ぶ曲げ工程

東西ドイツ時代に国境線が長かったニーダーザクセン州の板金企業

ドイツ北部に位置するニーダーザクセン州は東ドイツの国境線に接し、その距離は550㎞と長く、かつ、ドイツ国内では2番目に広い面積を持つ。エルベ川とエムス川、ハルツ山地と北海に囲まれ、風光明媚で農業が盛んな地域である。最近は、アウトバーンを走っていると、農地のいたるところに風力発電施設の巨大な風車が回っている光景を目にすることができる。一方、州都であるハノーバーは世界的な産業見本市の町であるとともに、フォルクスワーゲンの工場があり、自動車産業が盛んな地域でもある。

PSW-Umformtechnik GmbHはハノーバーから車で約1時間の場所にあり、1998年7月に Jens-Heinrich Palandt氏、Thorsten Steinberg氏、Uwe Strohte氏の3人で創業された。現在36名の社員が、工業用コンピュータの筐体・シャシーからエレクトロニクス部品、キャビネット、家具などに使われる板金部品やモジュール、コンポーネントを製作している。工場は2,000㎡の生産スペースを備え、鉄・ステンレス・アルミ・銅・真鍮など非鉄材料を含む多くの鋼種を在庫し、板厚0.5~6.0㎜を中心に幅広い仕事に対応している。

得意先の数は90社におよび、主要な得意先12社で売上全体の80%をまかなっている。売上の半分が工業用コンピュータ関連の筐体・シャシーの仕事で占められている。ロットは1個から2万個まで。工業用コンピュータ関連はリピート受注すると2万個程度になり、日本と比べてロットサイズは大きい。しかし、地理的に旧東ドイツに近く、ポーランドをはじめとした東欧諸国まで車で7~8時間という距離なので、ロットの大きいリピート品はチャージの安い東欧や旧東ドイツに流れるケースが増えているという。また、現在受注している仕事は組立をスリランカで行うため、サブアッシーした製品を船便で送り出しているという。

画像:生産と加工の情報をリアルタイムに運用し、ムダ取りを目指すJens-Heinrich Palandt共同代表(左)と、Thorsten Steinberg共同代表(右)

平均時給50ユーロ(7,000円)の高コスト体質

Thorsten Steinberg共同代表は「当社の従業員の多くは、中学校を卒業した後、16歳から見習い工として工場で働きながら職業訓練学校に通い、技術を学んできた職人が多く、平均年齢は40歳になります。私自身もそうした経歴で、マイスターの資格を取得し、起業に参加しました。当地区にはフォルクスワーゲンの大きな工場があるため、人手を集めるのが大変です。特に熟練工を探すには、給与水準も高くしないと集まらない。そのため、総人件費の平均時給は50ユーロ(7,000円)余りになります。これに対して旧東ドイツでは2/3、ポーランドへ行けば1/3に下がる。当然、リピート生産は人件費の安い東欧へ、さらに安いトルコや中東、最近ではスリランカにまで仕事が流れている。人件費の高い当社に残る仕事は、試作や、単品の高付加価値製品だけになってきました」と語る。

画像:生産と加工の情報をリアルタイムに運用し、ムダ取りを目指す3次元CAD SolidWorksを活用して展開を行うとともに、ERPの画面指示でプログラム順序を決める

つづきは本誌2015年2月号でご購読下さい。

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