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年商200万、従業員ゼロの状態からの再起

5年間で月間処理トン数160トンに

筒井鉄工 株式会社

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画像:年商200万、従業員ゼロの状態からの再起香川県三豊市にある筒井鉄工㈱の本社工場

ネットワーク化・自動化を推進する板金ジョブショップ

筒井鉄工㈱は、シャッター・サッシなどの建築建具をはじめ、コイン精米機、各種キャビネット、ユニットハウス部材のモノづくりに精通した創業70周年の板金ジョブショップ。

1946年の創業期は香川県観音寺市内で海洋関連の自社製品を開発・販売していた。1975年、三豊市に新社屋を完成・移転後は、三和シャッター四国工場の仕事へとシフト。しかし、三和シャッター四国工場の閉鎖とともにシャッター関連の仕事から撤退、建材メーカーの請負仕事を手がけるなどして事業を継続してきた。その後、サッシ・建築金物類の仕事から、コイン精米機、ユニットハウスなどの部材加工の仕事をしてきた。

3代目社長の筒井琢也氏は、ネットワーク化や自動化に対応した生産設備の構築や設備投資を意欲的に進めてきた。ここ5年間で、パンチングマシンEMZ-3610NTP、EMZ-3612MⅡ、工程統合マシンLC-2012C1NT―3つの自動化ラインを導入するとともに、建築金物類には必ずついてまわる商用図・施工図などから板金部材を抽出してバラ図を作成、そこから展開図を作成してCAM割付を行うプログラム上流の合理化にも着手。建築金物業界向けの専用のバラ図作成CADとCAM作成のアマダネットワークを一元化し、バラ図作成から展開、板取りまでのシームレス化を実現させるとともに、加工現場では自動化ラインを24時間稼働させることで、生産性を大幅に改善した。また、ブランク加工後の曲げ加工については、ネットワーク対応型ベンディングマシンも5台導入している。

同社は、モノづくりにおける考え方もユニーク。近年、板金企業の多くは、設計・展開、抜き・切断、曲げ、溶接、塗装、組立という一貫体制でセット受注を目指していくのが主流だが、同社はボトルネックに陥りやすい後工程には深入りせず、抜き・曲げを中心とした“パーツ受注・パーツ納品”を徹底し、得意先ごとにカスタマイズされた自動化ラインを運用した高効率なモノづくりを行っている。従業員数22名の中小企業でありながら、2014年には月間平均処理トン数160トンを達成した。

画像:年商200万、従業員ゼロの状態からの再起左:筒井琢也社長/右:パンチングマシンEMZ-3612MⅡの前で撮影。左より、安井啓二部長、三宅康仁工場長、中村康宏製造課長、大久保淳一成形係長

2009年、従業員がゼロに

直近の業績を見ると順調に発展してきたように見えるが、同社は1度、従業員ゼロという“どん底”の状態を味わっている。

同社は1946年、筒井琢也社長の祖父にあたる初代が香川県観音寺市で鉄工所を個人創業、当時は海洋関連の自社製品を開発・販売していた。1975年には、香川県三豊市へ工場移転するとともに筒井鉄工㈱へと株式改組、三和シャッター四国工場からの仕事へシフトし、業容を拡げてきた。

その後しばらくは順調だったが、1990年代になると、経営者の急逝、バブル崩壊、主要得意先の工場閉鎖など、度重なる苦難に見舞われた。1996年、父親であり2代目社長の余命を知った筒井社長は、得意先工場内で請け負っていた社内外注の仕事を切り上げ、急ぎ生家へ帰り、事業を継承した。

そして、会社を存続させるため、筒井社長は新規開拓を推進していく。これまで手がけたことがなかったサッシ関連の仕事を取り込む際には、図面の展開方法をはじめ、手探りの部分も多かったが、トライ&エラーを繰り返しながらノウハウを培っていった。そうして得意先からの信用を徐々に獲得、設計請負から組立の仕事を一部手がけるなど、仕事量も増えていった。

2006年ごろは、従業員数が過去最大となる50人程度にまで増え、同社が主力とする建物・建築関連の仕事も右肩上がりの時期。ところが、2008年に発生したリーマンショックで同社は再び“どん底”に落とされた。世界的な不況のあおりを受け、建設メーカー各社は建設計画を軒並みストップ、サッシなどの建築建具の需要は激減し、同社は開店休業の状態になった。

将来が不透明の中、筒井社長は余力があるうちに会社を1度リセットすることを選択。従業員にも事情を説明し、保有する設備や鋼材を売却した資金を従業員の退職金へ充当した。各種手続きが終わったあと、筒井社長の手元には空洞になった工場と先代が導入したパンチングマシンPEGAとベンディングマシンRGが残ったのみだった。

画像:年商200万、従業員ゼロの状態からの再起工場内。左右にはHDSシリーズなどのベンディングマシンが並び、奥にはEMZ-3610NTをはじめとしたブランク加工マシンがレイアウトされている

つづきは本誌2015年2月号でご購読下さい。

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