板金論壇

産業クラスター政策に見る日本の課題

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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日本では2001年から始まる

「産業クラスター」とは、米国の経営学者マイケル・E・ポーターが提示した概念である。「特定分野における関連企業、専門性の高い供給業者、サービス提供者、関連業界に属する企業、関連機関(大学、規格団体、業界団体など)が地理的に集中し、競争しつつ同時に協力している状態」のことで、クラスターとは本来は「群れ」「(ぶどうの)房(ふさ)」などを意味している。その名のとおり「産業クラスター」は、ぶどうの房のように企業、大学、研究機関、自治体などが地理的に集積し、相互の連携・競争を通じて新たな付加価値(イノベーション)を創出する状態と述べられている。

日本でのクラスター形成に向けた取り組みは、2001年から開始した経済産業省による「産業クラスター計画」と、文部科学省による「知的クラスター創成事業」がある。「産業クラスター計画」では、全国19のプロジェクトが実施されており、地場企業を中核とした取り組みが行われている。一方「知的クラスター創成事業」では、全18プロジェクトが実施されており、先端技術シーズを中核とし、両クラスターともに地域の産業集積を高め、地域活性化を図ることを最終的な目標としている。

経済産業省の「産業クラスター計画」では「わが国の経済再生を図るためには、地域経済の再生を図る必要があります。地域経済の再生は、企業間や大学・研究機関などとの組合せによるイノベーションの創出(新たな産業創出、需要創出)によって実現されます。日本の各地域において、国際的にも競争優位な次世代型の『産業クラスター』(世界モデル)を創出していくとともに、ピラミッド型に代表される従来型の『垂直型産業組織』(旧日本モデル)を『産業クラスター』(世界モデル)に組み替えていく必要があります」として、国内に産業クラスターを創設するための活動を活発化させている。そして、「産業クラスター」の形成をより効果的、効率的に実現していくために、各企業や経済主体などが持つ経営資源を結集して、「特定分野における新たな組合せの模索(クラスター形成の準備)」の段階を経て、「クラスター・コアの形成」→「クラスター化」→「産業クラスターの形成」の各プロセスを、意図的、戦略的に進めることを目指している。

つづきは本誌2015年2月号でご購読下さい。

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