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次世代電力システム

スマートメーターの本格導入がはじまる

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画像:日本国内の需要家構造と電力計(メーター)の設置数ならびに自動検針の実施率/経済産業省の資料を基に編集部で作成日本国内の需要家構造と電力計(メーター)の設置数ならびに自動検針の実施率/経済産業省の資料を基に編集部で作成

スマートメーターの導入が本格化

「スマートメーター」と呼ばれる次世代電力量計の本格導入に向けた取り組みが活発化している。電力会社は、スマートメーターの調達先選定のための一般競争入札を実施し、関連する大手メーカーは生産ライン強化のために数十億円規模の大型投資を実施・計画するなど、新たな市場への期待が高まっている。

活発化の背景には、「電力選択の自由」の実現を目的とした、「電気の小売業への参入の全面自由化」(2016年実施予定)や、「法的分離による送配電部門の中立化」(いわゆる発送電分離、2018~20年実施予定)が挙げられる。

スマートメーターは、従来のアナログ式電力計とは異なり双方向通信機能を持つ。また、企業や一般家庭の電力使用量の検針を自動で行い、WAN(Wide Area Network)やHAN(Home Area Network)などの通信網を介して、電力の使用量や利用状況などの情報を電力会社・利用企業・一般家庭に伝えることができる。電力の”見える化”やニーズに適した料金メニューを実現(もしくは選択)でき、次世代電力システムに欠かせないインフラと位置づけられる。

特高・高圧大口需要家を中心に導入が進む

国内で電力を利用する企業や一般家庭は7,700万以上。経済産業省の資料によると、全国のメーター設置数は、契約電力500kW以上の「特高・高圧大口需要家」が約5万個、500kW未満の「高圧小口需要家」が約70万個、それ以外の「低圧需要家」が約7,700万個となる(図)。

すでにビルや工場向けの「特別高圧」「高圧大口」は、東京電力・関西電力・九州電力・東北電力の4社がスマートメーターの導入を完了。ほかの電力会社は、2016年度中に導入を完了すると発表している。

一般家庭を中心とする「低圧」は、関西電力が管内の利用者(一般家庭)に約200万個のスマートメーターを導入するなど、一部地域では導入が進んでいるものの、全体に占める割合は数%程度にとどまる。

そうした背景の中、東京電力が昨年11月、「低圧」の利用者に導入するスマートメーターの一般競争入札を実施。三菱電機、GE 富士電機メーター、東光東芝メーターシステムズの3社が落札し、2014年度に導入予定のスマートメーター190万個のうち、約114万個をこの3社から調達することになった。さらに東京電力は、管内の全利用者(2,700万世帯)に対して、スマートメーターの導入を2020年度中に完了することを発表している。

また、電力各社は経済産業省からの要請を受け、スマートメーターの設置完了時期を従来計画から2 ~ 3年前倒すことを決定、もしくは検討中との発表を行っている。東京電力以外の電力会社の導入計画(検討含む)は、関西・九州・中部電力の3社が2023年度中、北海道・東北・四国・北陸電力の4社が2024年度中、中国電力が2026年度中、沖縄電力が2032年中に完了――となっており、スマートメーター導入に向けた取り組みが本格的に動き出している。

つづきは本誌2014年3月号でご購読下さい。

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