板金論壇

日本のモノづくりの強み・弱み分析に必要な日本人論

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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世界の潮流と日本

昨年は中国・台湾・米国などの板金業界を取材した。また、フランス・ドイツ・タイ・韓国などから来日した板金企業の経営者に話を聞く機会を持った。それらの見聞から、改めて日本の板金業界を見たときに、日本の強み・弱みを考えさせられた。

日本の名目GDPに占める産業別割合を調べると、2012年の製造業が占める割合は18.2%で、サービス業の19.9%に次ぐ2番目。2000年の製造業は21.2%を占め、名目GDPに占める産業別割合はトップで、12年で3ポイント減少したことになる。その一方で2000年のサービス業は17.6%、こちらは12年で1.5ポイント増えたことになり、サービス業が占める割合が増す傾向にある。

GDPに占める純輸出(輸出-輸入の割合)は1%台

その一方でGDPに占める純輸出(輸出額―輸入額)の割合を調べると、平均1%未満という極めて低い水準で推移している。ちなみに、日本の純輸出がGDPに占める割合が最も高かったのが、1986年の4.0%。輸出大国と思われがちな日本だが、GDP 上で純輸出が5%に届いたことは、戦後ただの一度もない。例えば輸出の対GDP 比率が過去最高を更新した2007年でさえも、純輸出は1.7%に過ぎない。同年の主要国における純輸出の対GDP 比率を見ると、中国が9.4%、ドイツが7.1%、ロシアが8.7%、シンガポールが28.9%となっている。資源・食糧の輸入への依存度が高いことを差し引いても、日本の純輸出比率は他国と比べて極端に低く、内需偏重の傾向が見て取れる。

逆に言えば、外需に頼らずとも内需で経済が回ることになる。だから、板金業界も仕事を海外にまで求めなくとも、内需で十分まかなえる環境があったといえる。しかし、外需の割合が上がっていけば、内需だけに頼るわけにはいかなくなり、仕事を海外に求めざるを得なくなって、グローバル化を進めなければ必然的に経営が立ち行かなくなる。

つづきは本誌2014年2月号でご購読下さい。

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