板金論壇

中国の変化―生産年齢人口の減少がロボット化、自動化、レーザ導入に向かわせる

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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日中関係の改善効果

昨年11月、北京で開催されたAPECで、安倍首相と習近平国家主席との初めての首脳会談が開催されるなど、険悪だった日中間に対話が戻りつつある。一時減少していた中国からの観光客も戻り、円安効果もあって、中国人観光客が買い物をする金額が大幅に伸びている。GDPで世界2・3位の日中両国の関係改善は、互いにとって利益をもたらすものであり、好もしい傾向だ。

ところで、1年ぶりに中国・上海で開催された「MWCS2014」(中国国際金属加工見本市)を訪れ、中国の業界メディアや、お客さまと話をする機会を持つ中で、改めて中国の存在感とその変化を注視していかなければならないと気がついた。MWCSの出展傾向やトレンドは別の記事(34ページ参照)に書いているので、ここでは業界メディアの記者やお客さまとの会話で見え隠れする中国の現実を紹介し、読者のみなさまの参考に供したいと思う。

中国では昨年、3万6,560台の産業用ロボットが売れた

まず、「MWCS 2014」は「2014国際工業博覧会」を構成する専門展のひとつであり、MWCSのほかに「Industrial Automation Show 2014」(IAS 2014)、「Energy Show 2014」(ES 2014)という専門展も併催された。この中で注目を集めたのが「IAS 2014」。人件費が高騰する中国では、自動車業界やフォックスコン(鴻海精密工業)などのEMS企業が先行して自動化投資を行っている。特に人海戦術によって行われてきた組立工程、溶接工程などに産業用ロボットの導入が進んでいる。2013年、中国国内で販売された産業用ロボットは3万6,560台と、販売台数で世界1位となった。

工作機械、板金機械を集めたMWCSが上海新国際博覧センターのE1~E5ホールを使ったのに対して、IASはW1~W5ホールを使って開催され、このうちW4~W5に産業用ロボットが出展されていた。ABB(スイス)、KUKA(ドイツ)という欧州の2大メーカーに加え、日本からはファナック、不二越、日立製作所、三菱電機、パナソニック、安川電機製作所などが大きなブースで出展。ホール入口に近いメイン会場は、さながら日欧ロボットメーカーの競演となった。そして中央部から後ろは、すべてローカルのロボットメーカーが出展、中国ローカルメーカーと外国メーカーとの激しい競争が垣間見えた。

つづきは本誌2015年1月号でご購読下さい。

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