特集

Webを活用した企業価値創造の取り組み

タブレット端末を通して“情報”の徹底活用に挑む

異なるシステム間の連携による情報の統合、 事務所と現場の双方向コミュニケーションを構想

栄通信工業 株式会社

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画像:ベンディングマシンFBDⅢ-8025NTの前面にiPadを設置し、図面・立体姿図を表示ベンディングマシンFBDⅢ-8025NTの前面にiPadを設置し、図面・立体姿図を表示

塗装までの一貫生産・超短納期に対応

栄通信工業㈱は、板金・プレス・機械加工に対応するとともに、ファイバーレーザ・YAGレーザ溶接システムをはじめとする信頼性の高い溶接設備、塗装(粉体・溶剤焼付け塗装)設備まで設備することで、設計上流から塗装、一部組立までの一貫生産に対応する総合板金サプライヤー。主な取引分野は、電子部品・産業機器関連の筐体・カバーやバスや、建設機械向け空調機器の部品加工。現在の得意先は約30社。自社のWebサイトでファイバーレーザ溶接による工法置換を提案し、3次元ソリッド板金CADによる設計提案力の強化にも取り組むなど、新規得意先の開拓にも意欲を見せている。

加工に使用する材料はSECCとSPCCなどの鋼板が中心で、0.8~1.6 ㎜の薄板が主体。リピート率は80%と高い。1970年代から取引を開始した空調機器メーカーに対しては、確定受注から4日(塗装含まず)という短納期に対応する。リピート生産の効率化を図るため、独自の生産管理システムを徹底的にカスタマイズする一方で、アマダが提唱するVPSS(バーチャル試作システム)を採り入れるなど、加工技術情報・生産管理情報のデジタル化に取り組んできた。

2013年には、事務所・工場を含む社内全体に無線LAN環境を整備。現在は、製造現場でタブレット端末を導入して、加工技術情報・生産管理情報の共有に着手し、ペーパーレス化と業務改善に取り組んでいる。

画像:代表取締役社長の今井政彦氏代表取締役社長の今井政彦氏

30 年以上前から独自の生産管理システムを導入

1982年から社長に就任した今井清之会長は、前職のサラリーマン時代から製造業の生産管理を専門にしてきた。そのスキルを活かし、社長就任後はオフコンを導入、プレス・板金のサプライヤーとしては極めて早い時期から生産管理のデジタル化に取り組んでいった。その後、オフコンからパソコンへとプラットフォームを移したものの、独自開発の生産管理システムは継続利用。得意先のQ,C,D要求に応えるため、今日まで徹底的にカスタマイズを続けてきた。

1980年代は、まだまだデジタルな生産管理の考え方が十分に浸透していない時期だったため、今井会長が生産管理システムを導入する際には周囲の理解を得られず、難航したという。しかし今井政彦社長が1986年に入社してからは(2007年に社長就任)二人三脚で管理体制を充実させていった。

今井会長は「最大の課題は、空調機器関連のお客さまからの要求である短納期対応と在庫の圧縮。内示はいただいていますが、構成部品が10~30個とあった場合、確定受注後に着手していたのでは4日という短納期に対応できません。だからといって製品在庫を抱えていたのでは、スペースがいくらあっても足りません。しかも納期変更が頻繁に入るため、紙ベースでの管理では限界があり、システムを活用した柔軟できめ細かな対応が不可欠でした。また、在庫を抱えないためには、受注の見込みに対する最も効率的な“引当て”の方法を考えて手配していく必要がありました。現在庫、受注数(引当て数)、有効残在庫(引当て見込みと手配数を考慮した見込み在庫)といった概念を自社の生産管理システムに採り入れ、不良在庫の解消に取り組みました。また、オフコンの時代から構成部品の親子関係を反映して、共通部品の一括管理も行ってきました」と語る。

画像:iPad上の図番検索で図面と立体姿図を閲覧できるiPad上の図番検索で図面と立体姿図を閲覧できる

つづきは本誌2014年10月号でご購読下さい。

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