板金論壇

「NATO=なっとう」をやめ、グローバル化する2代目

ハード面の価値からソフト面の価値を創造

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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世界情勢が混迷している。タイの軍事クーデター、中国の共産党政権の権力闘争と経済の停滞、ウクライナ情勢を巡る政情不安、英国の連合王国崩壊の危機、エボラ出血熱の拡散、イスラム過激派組織の勢力拡大など、グローバル化に対応する日本経済にとってリスクは増大の一途を辿っている。
その一方で企業経営者が考えなければならないのは、自社の存在意義とグローバル化への対応である。

4~6月のGDPは前期比年率7.1%減

第2次安倍政権が発足して1年半。日本経済は緩やかに回復しており、楽観的にみると景気拡大がこのまましばらくは継続する雲行きである。

しかし足もとを見ると、内閣府が発表した第2次速報値では、4 ~ 6月期の実質GDP改定値が前期比▲1.8%、年率では前期比▲7.1%。東日本大震災が発生した2011年1~3月期(前期比▲1.8%、前期比年率▲6.9%)を上回る落ち込みとなり、2013年10~12月期以来、2四半期ぶりの前期比マイナス成長となった。消費税率引き上げにともなう駆け込み需要の反動で、個人消費が落ち込んだ影響が大きいとされる。

日本経済研究センターの調査によると、エコノミストら42人の見通しは「7~9月期のGDPについて前期比年率4.08%増と高い成長率を見込んでおり、その後もプラス成長が継続するとの見立て」(日本経済新聞)とも報道され、景気への楽観論がささやかれている。

安倍首相は7~9月期の景気動向を見て、来年10月に予定されている消費税率10%への引き上げを最終決定するとされており、このまま推移すれば消費増税実施は避けられない。それがまた、個人消費にどのように影響するかは不明。ただ、多くの国民は、消費税率が最終的には10%に引き上げられることを見込んでおり、今年の消費増税に比べると影響は少ないとの見方もある。

民間設備投資が景気を牽引

GDPの6割を占める個人消費の動向が経済成長を大きく左右することは間違いなく、予断を許さない。ただ、ここへきて頼もしいのが、民間の設備投資が順調に推移していることだ。7 ~ 9月期も企業の設備投資意欲は衰えていない。特にこの時期は、「設備投資促進税制」や「ものづくり補助金」などを活用した中小企業の設備投資の実行時期を迎え、投資が上向いている。また、国土強靭化対策や震災復興関連の公共投資も引き続き堅調に推移、GDPの2割を占める設備投資は、今後も着実に進むものと見られる。

ただ、懸念されるのは、公共投資に関しては深刻な人手不足と資材価格の上昇。さらに、設備投資に積極的な企業がいる一方で、設備投資をしたくてもできない中小企業が増えていることだ。次代を継承する後継者の不在、受注の伸び悩み、電気料金をはじめとしたコストアップ分の価格転嫁ができない―などの課題を抱えている。結果として好不況の2極化が企業間で顕著に進んでいる、と見える。

つづきは本誌2014年11月号でご購読下さい。

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