特集

モノづくりの"見える化"を図る生産管理システムの現状

変種変量・短納期対応に不可欠な生産管理システム

株式会社ケーブルソフトウェア 代表取締役 南條 健

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画像:モバイル端末から受注情報を参照するモバイル端末から受注情報を参照する

20年間で情報革命が起きた

情報通信技術(ICT:Information Communication Technology)の進歩・発展によって、世界中どこにいても会話をしたり、必要な情報を入手できたりするようになりました。この20年間は、人類始まって以来の歴史に残る情報革命が起きたと言っても過言ではありません。

1990年頃から、自動車電話・携帯電話の普及で24時間いつでもどこでも会話ができるようになり、情報伝達のスピードは飛躍的に改善されました。また、1995年にMicrosoft社がWindows 95を発表して以降は、パソコンとインターネットの急速な普及とブロードバンドの高速化により、情報伝達のスピードはさらに加速しています。

このような情報環境の変化の中、製造業におけるメーカーおよび協力工場の取り組みを見ますと、1995年にWindows 95が発表される以前は、一部の専門職者のみがオフコンを活用する程度でした。メーカーと協力会社との間で情報を共有化する取り組みは、協力工場に専用回線を引いて、発注情報の”見える化”を行うことで、資材調達のスピードアップを図ってきました。ただしこれも、一部のメーカーと協力会社の間での限定的な取り組みであり、依然として、紙の注文伝票が郵送される、またはメーカーの資材部の通い箱に注文伝票を取りに行く形態が一般的でした。協力工場も、社内の”見える化”はQC 活動など人海戦術であったと思います。

その後(1995年以降)、パソコンとインターネットの普及にともない、メーカーは資材調達の簡素化を推進し始めます。インターネットを活用した電子発注(EDI)、CAD情報の電子化(ドラフターから2次元/3次元CADへ)、協力工場の”選択と集中”を行い、ユニット/アセンブリーで発注をかけるようになりました。

それに対し、協力工場はパソコンの普及にともない、表計算ソフトを活用して受発注情報のデータ化に取り組むようになります。しかし、あくまでも管理が紙からデータに変わった程度で、社内の共有情報としての活用には至っていませんでした。
アマダはその当時「つくる・ためる・つかう」をキーワードに、CAD/CAMと加工マシンをネットワーク化し、従来の紙テープ、フロッピーディスクをなくし、CAD/CAM情報の一元管理をご提案し、工場のネットワークを推進してきました。

2000年に入ると、メーカーは2000年問題を機に、社内システムのPC化(Windows化)への取り組みを進めていきます。協力工場への発注情報から検収情報まで、あらゆる取引情報を電子化し、共有できるシステムを構築するようになりました。協力工場が生産管理システムを導入するようになったのも2000年に入ってからです。

そして現在は、新興市場の台頭にともない、メーカーは資材調達のグローバル化によって、現地生産や新興国からの調達を加速させています。メーカーの国内での調達は、変種変量・短納期・高品質・試作など、管理工数のかかるものばかりが残り、協力工場は生産情報と機械情報とを連携し、さらなる間接工数の削減を行う取り組みを迫られています。まさに、この20年間でモノづくりの環境には大きな変化が起きているのです。

画像:20年間(1990~2010年)の製造業をとりまく情報環境の変化20年間(1990~2010年)の製造業をとりまく情報環境の変化

つづきは本誌2014年12月号でご購読下さい。

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