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回復著しいアメリカ板金業界

「FABTECH 2013」開催 ― ブランク工程は60%がファイバーレーザ

建設機械・農業機械・住宅関連産業などがけん引/自動化ニーズも高まり

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板金加工、金属成形、2次加工、溶接および仕上げ関連の世界最大級の公共展「FABTECH 2013」が、2013年11月18日から21日までの4日間、米国イリノイ州シカゴのマコーミックプレイスで開催された。

今回のFABTECHの展示面積は約6万m2(前回2011年比24.5%増)、出展者数は1,573社・団体( 同21%増)、期間中の来場者数は4万667人(同14.7%増)となり、「製造回帰」(リショアリング)や「シェールガス革命」に沸く米国製造業の好調ぶりを反映して活況だった。

前号(1月号)で「特報」としてレポートしたが、今号では日本に先駆けて普及が進むファイバーレーザマシンを中心に、出展機の動向をレポートする。

主役はファイバーレーザ
全体で18社24台が出展

今回のFABTECHでは、金型が不要で加工自由度が高いレーザマシン――しかも従来のCO2レーザマシンに比べてエネルギーコストをはじめとしたランニングコストが安く、高反射材の加工に優れるファイバーレーザマシンの出展が目立った。米国板金業界では2012年頃からファイバーレーザマシンに対する関心が高まり、この1年で日本以上に普及が進んだ。すでに米国では、レーザマシン全体の出荷台数に占めるファイバーレーザマシンの割合が30%程度にまで上昇しており、2015年頃までにはCO2レーザマシンに取って代わり、レーザマシンの主役になると見られている。

今回、パンチングマシンの出展は、Trumpf が1台(TruPunch 3000)、村田機械が3台(Motorum 3048TG/2048TS/2044TC)のほか、トルコなどの新興国のメーカーが出展したのみであった。

CO2レーザマシンは、板金加工用途ではTrumpf(TruLaser 1030)、Bystronic(ByAutonom 3015)、Prima Power(The Laser)、三菱電機(ML3015eXS、ML3015eX)、ヤマザキマザック(OPTIPLEX 4020Ⅱ、OPTIPLEX EX 3015)、Han-Kwang(FL-3015 CO2)の6社8台にとどまった。Bystronic、三菱電機、ヤマザキマザックは6kWの高出力機を出展し、軟鋼・板厚1インチ(25.4mm)のデモ加工を実施、厚板の高速切断・高速ピアス加工をPRしていた。

それに対して、ファイバーレーザマシンの出展は全体で18社24台、板金加工用途に絞ると13社19台。CO2レーザマシンの倍以上となり、ブランク加工マシン全体の約60%がファイバーレーザマシンとなった(Trumpfは正確にはファイバー伝送のディスクYAGレーザマシン)。

また、米国で好調な建設機械・農業機械・住宅関連業界向けのパイプレーザマシンもBLM(イタリア)、Han-Kwang(韓国)、ヤマザキマザックの3社が出展。このうちBLMとHan-Kwangはファイバーレーザを採用していた。

画像:アマダが発表した新型ファイバーレーザマシン「ENSIS-3015AJ」。アマダとJDSU(米国)の共同開発による新型発振器(2kW)を搭載し、2kWながら板厚1インチ(25.4mm)までの加工に対応アマダが発表した新型ファイバーレーザマシン「ENSIS-3015AJ」。アマダとJDSU(米国)の共同開発による新型発振器(2kW)を搭載し、2kWながら板厚1インチ(25.4mm)までの加工に対応

高出力化が進むファイバーレーザマシン

ファイバーレーザはCO2レーザと比較して、省エネ性能が高くランニングコストを1/4~1/3に低減できること、金属に対するビームの吸収率が高くアルミ・銅・真鍮・チタンなどの高反射材・難加工材の加工が容易なこと、特に板厚3mm以下の薄板の加工速度が大幅に向上すること、レーザガスが不要で発振器内部にレンズやミラーなどの光学系部品を使用していないため定期的なメンテナンスの負担とランニングコストを削減できること――など様々なアドバンテージをもつ。

その一方で課題となっていたのが、軟鋼や板厚3mm超の中厚板の加工速度と加工品質。そのため今回のFABTECHでは、採用する発振器の出力が2kWから、3、4、5、6kWと大出力化することで板厚1インチ(25.4mm)までの対応を目指す傾向が目立っていた。

板金加工用途のファイバーレーザマシン19台を発振器の出力別に見ると、1kWが2台、2kWが4台、2.5kWが1台、3kWが5台、4kWが4台、5kWが2台、6kWが1台。これまでは2kWが標準的だったが、着実に高出力化が進んでいた。

画像:厚板(手前から、軟鋼・板厚25・22・19mm)の加工サンプル厚板(手前から、軟鋼・板厚25・22・19mm)の加工サンプル

つづきは本誌2014年2月号でご購読下さい。

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