特集2

事例紹介 ― 設備力強化で差別化を図る板金企業

「自動機を自動機らしく使うことの重要性」

停滞することなく変化を目指す

太洋工業 株式会社

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画像:同社の代表製品である情報通信機器(ディスクアレイシステム)のラック(フレーム構造)同社の代表製品である情報通信機器(ディスクアレイシステム)のラック(フレーム構造)

情報通信機器を中心に多様な業種を手がける

4代目社長で社長就任8年目になる代表取締役の渡辺一史氏は「当社がメインとしている情報通信機器の仕事は、今後、間違いなく減少していきます。社員のためにも、停滞することなく新しい取り組みを続け、体質を改善し、変化していかなくては」と断言する。

太洋工業(株)は情報通信機器をはじめ、医療機器・理化学機器、半導体製造装置関連のほか、制御盤、電力関連、鉄道車両用床下機器、バッテリー関連、事務機器などを幅広く手がけている。メインは売上シェア66.7%を占める情報通信機器。具体的には、データセンターやサーバールームに設置するディスクアレイシステム(多数のHDDを組み合わせたデータ保管システム)やサーバーシステムの筐体・ラックが主力製品となっている。

医療機器・理化学機器は18.1%で、臨床分析装置や臨床検査機器、電子顕微鏡の筐体や構造部品など。

半導体製造装置は4.3%で、半導体製造装置の熱処理工程で使用する拡散炉の筐体(ステンレス・高さ2,700mm)や、エキシマレーザ用構造部品などを手がける。

その他11.0%は、制御盤や風力発電用モーターカバー、鉄道車両用床下機器の筐体(板厚6mm・幅3m程度)、バッテリー筐体、高速大型レーザプリンタの筐体(幅1,500mm程度)などを製作している。

画像:代表取締役社長の渡辺一史氏代表取締役社長の渡辺一史氏

情報通信機器の低調、好況業種の獲得に乗り出す

渡辺社長に現在の業況を聞いた。

「世界的に情報化が進む中、お客さま自身は情報通信関連の事業で最高利益を出すなど好調ですが、内訳を見ると、システムやサービスが高い割合を占めています。しかもディスクアレイシステムはHDD 1台あたりの記憶容量が増大していて、ハードウエア――ラック・筐体の必要数はかえって減少しています。さらに、お客さまはビットコスト(記憶容量1ビットあたりの生産コスト)を四半期ごとに10%削減する方針を打ち出しており、コストダウン要求も厳しさを増しています」。

「お客さまの売上の90%は海外。日米仏の3拠点でディスクアレイシステムを生産し、基本的には米国から米州全域、フランスから欧州・中東・アフリカ、日本から日本・アジア・パシフィックへと供給しています。ただし主力市場は欧米で、しかも最適地生産を目指して生産拠点・供給ルートはフレキシブルに対応しているため、ワールドワイドで激しい競争が繰り広げられつつあります。サーバーシステムは、まだ海外生産に対応していないので、今後、筐体・ラックの受注が伸びる可能性はあります」(渡辺社長)。

こうした状況を踏まえ、渡辺社長は好況業種の取り込みと業種の分散・平準化を強力に推し進めている。

「好況業種」の筆頭は、医療機器・理化学機器。2011年以降は着実に仕事量が伸びてきており「逓増傾向にあるため、少なくとも売上シェア25%くらいには持っていきたい」(渡辺社長)という。2012年から取引を開始したバッテリーメーカーから受注する筐体の仕事も好調で、「バッテリーの更新周期(7年程度)がうまく噛み合えば、安定した仕事量が見込めます」(同)。鉄道車両床下機器は2014年以降、新造車両の増加にともなって受注が拡大する可能性もある。

渡辺社長は「現在の得意先は約30社ですが、毎年新規でお引き合いをいただいています。数年以内に、情報通信機器の比率を40%程度まで下げ、医療機器・理化学機器を25%、半導体製造装置関連やその他の業種を35%程度にして、バランスをとっていきたい」と語っている。

画像:2013年5月導入した同社初のパンチ・レーザ複合マシンACIES-2512T2013年5月導入した同社初のパンチ・レーザ複合マシンACIES-2512T

つづきは本誌2014年2月号でご購読下さい。

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