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即断即決、「機を見るに敏」な台湾板金業界

創業17年で売上10倍、社員数は6倍に

VPSSの活用で設備稼働率改善、省力化を実現

岳峰工業 有限公司

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画像:パンチングマシンAE-255NTやEM-2510NT、工程統合マシンLC-2012 1NTなどが並ぶブランク工程パンチングマシンAE-255NTやEM-2510NT、工程統合マシンLC-2012 1NTなどが並ぶブランク工程

親が経営する金属プレス加工企業から独立

朱丞郁総経理は、父親とその兄弟で経営していた金属プレス加工企業の営業を担当していた。当時はスキャナやノートパソコンなどの量産加工の仕事があったが、将来を考えると量産の仕事は中国大陸へ移り、台湾国内には多品種少量品か小規模量産品しか残らないと考えた。そこで経営者たちに「このままでは将来がない。新しい事業を考えるべきだ」と説得を試みたが、経営者たちは従来の事業に強い自信を持っていて受け入れられず、袂を分かった。

1997年、現在の本社工場近くの140坪の貸工場にパンチングマシンPEGA-357、ベンディングマシンRG-50を2台、2次元CAD/CAM AP100を導入。朱総経理に夫人の?安さんを加えた社員15名で、岳峰工業を創業した。創業資金の一部を父親が援助してくれ、仕事も営業担当当時から出入りしていたスキャナ・通信機器・工業用コンピュータ(以下、IPC)のメーカーなどから受注でき、順調なスタートとなった。

創業当初から仕事は順調で、すぐに生産能力が追いつかなくなった。スキャナ、IPC、それに通信ネットワークで使われるハブなどは、量産に入る前の試作と、小規模量産のリピート品も受注。PEGA 1台では対応できなくなって、翌年の1998年にVIPROS-357とRG-80を2台増設した。

朱総経理は「1997年のアジア通貨危機で韓国は大きな影響を受けましたが、台湾経済や当社の受注への影響はあまりありませんでした。逆に、小規模量産の仕事が集中し、ロット50個以下の仕事をお断りするような状況になるまで逼迫しました。そこで、2001年に近くの240坪の貸工場に移転。新たにレーザマシンLC-1212αⅡとRG-50 2台を増設し、それまで外注していたレーザ加工を内製化しました。受注量が増えていたIPC関連では、パンチングとレーザの複合加工により、精度向上と工期短縮を実現できたのも大きな成果です。従業員も35名に増員、売上も創業時の4倍まで増えました」と創業以来の躍進ぶりを語っている。

画像:朱根皇董事長朱根皇董事長

中国視察でERPシステムの導入を決心

2001年のITバブル崩壊の影響で、IPC関連の仕事が激減。朱総経理は、少し時間ができたので中国の板金事情を調べてみようと、2002年にアマダ台湾が企画した中国・上海ツアーに参加、上海周辺の板金工場を視察した。

「その視察で、設備は台湾と変わらないという認識をもち、当時で1,600名の従業員が働く大規模な板金工場にもかかわらず、上手に生産管理を行っている様子に驚きました。

その後、日本の工場へ見学に行ってERPシステムの導入効果を知りました。そこで当社もERPシステムを導入して、進捗・実績管理を行うことにしました」(朱総経理)。

朱総経理は視察を終えると、すぐにITを活用した工場管理を目指して、ムダ取りを行った。そして2004年には3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを導入した。

「当社の得意先にはIT関連企業が多く、3次元設計の導入が進んでいました。そのため、受けCADとして導入しました」(朱総経理)。

2005年にはパンチングマシンEM-2510NTを導入、これで同社はパンチングマシン3台体制となった。

画像:工場エントランスに設置されている稼働サポートシステムvFactory工場エントランスに設置されている稼働サポートシステムvFactory

つづきは本誌2014年9月号でご購読下さい。

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