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即断即決、「機を見るに敏」な台湾板金業界

ショッピングモールや新工場向けの配電盤が絶好調

カスタム盤製作にEML-TK が活躍

東宏綜合配電 股份有限公司

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画像:パンチ・レーザ複合マシンEML-3610NT+ASR-48CR+ASR-3015NTKパンチ・レーザ複合マシンEML-3610NT+ASR-48CR+ASR-3015NTK

台湾・受配電盤業界の有力メーカー

東宏綜合配電は1986年5月に創業。当初は資金がなく、家畜小屋を工場として活用した。加工設備に関してはアマダ台湾から紹介され、第一勧業銀行(現在のみずほ銀行)のバンクローンでシャーリングやベンディングマシンなどを導入したという。

創業当時から配電盤の製作に携わり、以来、特注のカスタム盤を中心にキュービクル・受配電盤・分電盤の設計・製作を手がけてきた。最近では太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに関連したパワーコンディショナー(以下、パワコン)も製作している。

1997年にISO9002、1998年にはISO9001の認証を取得し、同年10月には現在地に工場を移転した。2007年に台中市内に台中事務所を設立。2009年には台湾政府の金属工業研究開発センターの認証を受け、国際的な工業規格IP56に従って台湾で生産される受配電盤の防塵・耐水テストを委嘱された。2011年には、工場内に設置したマクロテスト実験室が財団法人全国認証基金会(TAF)によって認定された。また、台湾電力研究試験センターによって、受配電盤や制御盤の防塵耐水テストも行うことができるIP45の資格も取得した。さらに2012年には、台湾政府経済部から電気機器メーカーに与えられる登録証―CNS3990(84)、CNS3991(84)を取得、台湾の有力な受配電盤メーカーとして認められていった。

日本の場合、(社)日本配電制御システム工業会があり、盤関連企業のほとんどが加盟していて、標準盤(規格品)をつくる企業と、カスタム盤(オーダーメイド品)をつくる企業に大別される。それを踏まえて、楊茂稜総経理に台湾配電盤業界の実情について尋ねた。

楊総経理は「台湾で配電盤をつくるには、国の基準であるCNS(Chinese National Standard)の認証取得が必要。また、一口に配電盤といっても、用途や設置場所によって、満たすべき基準がちがいます。たとえば鉄道向けは、国が基準を決めており、それを満たさなければいけません。台湾にも日本と同じような配電盤の工業会はあります。当社のような規模で配電盤を製作する企業は台湾でも少なく、10社程度しかありません。配電盤を新たに製造する場合には、必ず当社のように国から委嘱された企業で防塵や耐水テストを行う必要があり、そこで問題がなければ、製作を認定する資格証が発行されます。この試験テストと認定は、当社が国から任されています。その意味では当社は、台湾配電盤業界のフラッグシップのような企業だと自負しています」と同社の存在感の強さをアピールする。

画像:楊茂稜総経理楊茂稜総経理

カスタム盤の受注が好調

東宏綜合配電は1986年5月に創業。当初は資金がなく、家畜小屋を工場として活用した。加工設備に関してはアマダ台湾から紹介され、第一勧業銀行(現在のみずほ銀行)のバンクローンでシャーリングやベンディングマシンなどを導入したという。

同社が受注するカスタム盤は、台湾国内で建設が進むショッピングモール向けが多い。台湾では都市近郊でショッピングモールの建設がブームとなっており、同社で製作されるカスタム盤の受注が活況。工場を取材した際も、屋外設置の受配電盤が工場内に収まりきらず、屋外に仮置きされている状態で、生産はパンク状態だった。

「当社も以前は中国へ受配電盤を輸出していた時期がありました。しかし、12年前から中国の輸入関税が高くなって競争力を失ったため、国内向け中心にシフト。国内向けではショッピングモール、鉄道、工場・ビル向けの受配電盤を主に製作するようになりました」(楊総経理)。

現在、同社が受注するカスタム盤の業種分類では、ショッピングモール、鉄道向けがそれぞれ30%と高い。

「台湾国内では新工場が次々に建てられているため、工場向けも忙しい。現在は段ボールを生産する工場向けに配電盤を製作しています。また『台湾のシリコンバレー』と呼ばれるIT産業の中心地である新竹市周辺は、ITに関連した工場やホテル、マンションの建設ラッシュとなっており、それにともなって配電盤の受注も増えています」(楊総経理)。

その反面、建設業界の景気の影響を受けやすいのが難点。そこで同社は最近、沿岸部の工業団地に設置された風力発電設備で使用される、パワコンをはじめとした各種ボックスの設計・製造にも取り組んでおり、今後普及が進むと見込まれる太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーに関連した分野も取り込んでいこうとしている。

現在同社で製作する配電盤は、設置される場所によって使用材料を使い分けている。屋外はステンレスを使うケースが多い。取材時に屋外に置かれていた配電盤は、高雄港向けの配電盤。塩害対策で耐食性が必要なため、SUS316が使われている。しかし今後は「耐食性を備えたZAM材を使っていきたい」と楊総経理は語っている。

画像:配電盤の組立配線作業配電盤の組立配線作業配電盤の組立配線作業配電盤の組立配線作業

つづきは本誌2014年9月号でご購読下さい。

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